札幌新川高校 中村文則

 生徒と、そして黒板との格闘との毎日である授業は、時として、苦し紛れの小技を生み出すこともあります。まっ、それが役に立つかどうかは別問題ではありますが。

☆Nの値は何だろう?

<先生>さて、次の群数列において、1996は第何群の最初の項から数えて何番めにある項か考えてみよう。
    │1│2,3│4,5,6│7,8,9,10│11,12,13,14,15│16,………
第k群の中の項の項数はk個であるから、1996が第k群の中の項と考えれば、
    
となる。よって、
     …………(*)
 あとは、これを満たすnを求めればいい訳だ。では、やってごらん。

<生徒>先生、nを探すには、適当に数値を代入して調べるしかないんですか。
   それって、あんまり数学的でないですよね。

<先生>そうだね。何かいい方法がないだろうか………。では(*)の両辺をよく見てご覧。
    
 この並びに注目すれば、
    
と考えればいいのでは。ルートの開平をして、
    だから、
どうだろう。確認してみようか。
    
うまくいったね。

<生徒>先生、でも俺、ルートの開平知らないんだけど。

<先生>…………


☆連立漸化式の特性方程式って何?

<生徒>隣接2項漸化式、隣接3項漸化式、分数漸化式、みんな特性方程式(平衡値)がありますよね。では、連立漸化式の場合は、よく分からないのですが、あるんでしょうか。

<先生>うーん。確かにあまり聞いたことはないよね。ちょっと調べてみようか。
     …………@
     …………A
  とおきましょう。@+α×A を計算して 
     …………B
           
 これを隣接2項漸化式の型に持ち込むには、
          …………(*)
となるようなαの値を求めればいい。だから、(*)が特性方程式と考えられるね。
 分かったかい?。

<生徒>でも先生、それって他の型の漸化式の特性方程式と比較すると、難し過ぎないですか。

<先生>(てめー、なに偉そうにいってんだ?,と思いつつもにこやかに)
  そうだね。(顔面の引きつりを笑顔に無理矢理変え、解決の糸口を黒板に求め) はたと閃く。
 では、Bの両辺の各項の係数をよくみてご覧。
 が等比数列の型になるには、両辺の項の比が等しいければいい。だから
   
となればいいだろう。ちょっと例題で確認してみよう。


  @+α×Aを考えて
    
    
 だから、@+A、@―2×A を計算すればよい。
 これなら覚えやすいね。