問題2
1回りほぐした円周(長方形の横の長さ)は外側から順に
(20-0.1)π,(20-0.2)π,(20-0.3)π,……,(20-19.8)π,(20-19.9)π
となります。
同様に、ほぐした長方形の縦の長さは外側から順に
0.1,0.2,0.3,………,19.9
となります。
したがってそれぞれの長方形の面積に紙の厚さ0.05pを掛けた直方体の体積の和Vは、
V= (20-0.1)π×0.1×0.05
+(20-0.2)π×0.2×0.05
+…………
+(20-19.8)π×19.8×0.05
+(20-19.9)π×19.9×0.05
={2×(1+2+3+……+199)-(0.1)2(12+22+32+……+1982+1992)}×0.05π
ここで、 1+2+3+……+199= 1/2×199×200=19900
また、12+22+32+……+1982+1992=1/6×199×200×399=199×100×133
となります。
以上より体積Vは
V={2×19900-199×133}×0.05π=199×67×0.05π=666.7π(cm3)
これから体積は、約2093(cm3)となります。
問題3
練習問題
問題1
問題2
問題3
問題4
本稿は,数学基礎の補助的教材の一例として提案するものである.
数学基礎では,その指導は「人間」や「社会生活」をキーワードとして,身近な事象の数理的考察をすることを要求している.ただ,理論的な考察は深入りしないという縛りもあるため,自然と直感的なアプローチでの展開となる.また,考察の一手段である「計算」についても極力排除し,考察しなければならない.「できる」ことよりも「わかる」ことが重視されているのである.
当然,身近な事象は身近な素材から考察の入口を考えると組みし易いことになる.だから,トイレットペーパーは好例といえる.その素材の柔らかさは,バームクーヘン状に巻きついた図形をいかようにも加工ができる.毎日使用している「トイレットペーパー」の存在感とその感触の「柔らかさ」は,抽象的なイメージをも柔らかくし,想像上で,容易に加工の変化を追っていけるのである.
本稿では,トイレットペーパーを使って,カバリエリの原理による積分概念の指導を試みている.従来より,円柱の体積やペーパーを引き伸ばしたときの紙の長さの求め方については良く知られていることであるが,ここでは,トイレットペーパーを中心から押し込み切り取ってできる直円すいの体積と,残った部分のトイレットペーパーから球の体積を求めている.
ただ,よく考えれば,本文で説明しているような形で円すいの周りにペーパーが巻き取られるわけではないことは,気が付くと思う.柔らかな抽象的イメージを逆手に取った偽りである.実際にはペーパーは円すいに螺旋状に巻き付いていくはずである.本文のような巻きつき方の直円すいを作るには,円柱を削ぎ切って,くり抜かなければならない.
また,図で考えているトイレットペーパーのサイズは,半径10cm,高さ20cmであるから,ずいぶんでかい.実際の大きさを計測すると,(我が家で使用しているものは)半径6cm,高さ12cm位であるから,いくらなんでもこの大きさはないだろう,ということになる.さらに,本文では数列の和を計算させているが,これは前述した数学基礎における「計算の排除」の問題に抵触する.自然数の和ぐらいは,ガウス少年のアイデアで簡単に説明できるが,平方数の和はそうはいかない.だから教科書においてもこの計算の扱いはずいぶんてこずっており,指導要領に沿うために,預金の複利法のように止むをえず計算が必要な場合は電卓を利用させているのである.
だが,実際には数学的思考は知恵(アイデア)と知識(計算)の両輪で成り立つわけだから計算を100%排除することなどありえない.知恵を使って「面倒な計算を工夫して簡単にする」ことも数学の大事な思考であるし,知識と知恵は独立した車輪ではなく数学的思考というエンジンに直結した駆動輪と考えるべきなのである.
しかし,本稿を単独の分野と捉えるのではなく,本来の数学がそうであるように他分野との有機的結合の上に成り立つと考えるならば,トイレットペーパーの大きさの問題は,立体の相似比を扱う分野と絡めればよい.平方数の和については,ピラミッド状に配列した数の配列から視覚的に見出すことはよく知られているから,現地調達的に事前指導することは可能である.そういった課題解決の在り方の「柔らかさ」も数学基礎の指導には必要不可欠となってくる.
基本的に数学基礎は1からの出発である.分野の概念的な骨子は教科書に扱われるが,それを定着させるための肉付けはずいぶん現場の状況によって違ってくるだろう.ミニマムは1だが,マックスは限りなく不定な値であり,現場設定の到達目標によって決定される.
そして,いよいよ平成15年4月,数学基礎は大いなる課題をもって,現場に参入する.