札幌厚別高等学校 片岸 洋
数学Tの個数の処理や確率の分野で,以前に出題した中に次のような問題があった。ある生徒の解答は,授業中に教えた内容,あるいは期待したものとは違っており,おもいもよらない考え方をしたものもあった。
2桁の自然数のうちで,十の位の数と一の位の数の和が奇数になるものは何個あるか。 |
≪教師の解答≫
≪生徒の解答≫
9×5=45(個)
(2桁の十の位の数は9通りある。そのそれぞれに対して和が奇数になるのは5通りあるので 9×5=45(個))
90÷2=45(個)
(2桁の整数は全部で90個あり,奇数はその半分で,90÷2=45(個))
区別のつかない白玉4個,赤玉2個,黒玉6個から6個を取り出す方法は何通りあるか。ただし,取り出さない色の玉があってもよい。 |
≪教師の解答≫
B:6 | ||
B:5,W:1 | B:5,R:1 | |
B:4,W:2 | B:4,W:1,R:1 | B:4,R:2 |
B:3,W:3 | B:3,W:2,R:1 | B:3,W:1,R:2 |
B:2,W:4 | B:2,W:3,R:1 | B:2,W:2,R:2 |
B:1,W:4,R:1 | B:1,W:3,R:2 | |
B:0,W:4,R:2 |
≪生徒の解答≫
【参考】
その他の個数へのー般化は難しいと思われるが,たとえば,白玉4個,赤玉2個,黒玉5個から6個を取り出す方法は,上の解答から全部黒の場合を除けば良いので,
5×3−1=14(通り)
また,白玉4個,赤玉3個,黒玉6個から6個を取り出す方法も,白4個,赤3個の場合を除けば良いので,
5×4−1=19(通り)
と同じように求めることができ,この考え方を用いて求めることができる。
A,B,C,D,E,F,Gの8人が抽選をして4人,3人,1人の部屋にはいるとき,A,Bの2人が同じ部屋に入る確率を求めよ。 |
≪教師の解答≫
≪生徒の解答≫
生徒の解答には何も説明がないが,実際にp人,q人,r人で合計n人を部屋に入れる場合を考える。特定の2人A,Bがp人(p≧2)の部屋に入る確率を求めると
となり,どんな場合でも成り立ちそうである。
なぜこうなるか自力では理解できず,他の先生に相談したところ,異なる8個の場所に並べる順列で考えて,次の解答を得た。
8人をー列に並べるのは8!(通り),A,Bが3人部屋に入るのは3×2(通り),その他の並べ方は6!(通り)より
同様にA,Bが4人部屋に入るのは,4×3(通り),その他の並べ方は6!(通り)なので
つまり,求める確率は
となる。
一般的に考えると,特定の2人A, Bがp人(p≧2)の部屋に入る確率は,異なるn個の順列で考えて,
となる。
順列と組合せの関係では,今年の試験でも似たような解答があった。
父母2人と子供3人の計5人が1列に並ぶとき,父母が列の両端にくる確率を求めよ。 |
≪教師の解答≫
≪生徒の解答≫
この解答は偶然かもしれないが,前の問題と同じように考えることができる。
5人をー列に並べるのは5!(通り),両親が両端にくるのは2!(通り),その他の並べ方は3!(通り)なので
となる。
この場合はPでもCでも同じ答えになるが,実際はPの計算でなければ,考え方は正しいとは言えないかもしれない。部分点も含めて得点にするかしないかは各教師の判断によるだろうが,私としては,“疑わしきはマル”のつもりで正解にしている。
めったにはないが,試験で生徒が面白い発想をすることがあり,真剣に取り組んだ答案には,私の方が考えさせられ,悩んだ解答もあった。もしかしたら今までもこんな解答を見逃していたかもしれない。もう少し注意が必要であると実感すると共に,生徒の解答から学ぶことも少なくはないことを改めて感じている。