1.はじめに
「数研通信」 (No .33) に次のようなことが載っていた。
「2つの定点A,Bからの距離の比が"m:nである点の軌跡がアポロニウスの円であるが、その中心は線分ABをm2:n2に外分する点である。」
証明は、アポロニウスの円が図のように線分ABを m:n に内分する点と外分する点を直径の両端とすることから、中心の座標(それらの中点)を計算すればよい。 (神奈川県湘南高校 石濱文武先生)
このことの別証を示したいと思う。
2.内容
予備知識として次の2つの(1),(2)を確認しておく。
(2)2つの円
f (x, y)=(x - a1)2+(y - b1)2-r12=0
g (x, y)=(x - a2)2+(y - b2)2-r22=0
に対して、方程式
s f (x, y) + t g (x, y) =0
は円 (または1点、虚円)を表し、
その中心は線分ABをt:sにわける点
である。
ただし、f(x,y)=0、g(x,y)=0の中心をそれぞれA,Bとする。
とくにst<0のときは必ず円になる。
(「方程式sf(x,y)+tg(x,y)=0の表す図形」参照)
さて、2点A(a1,b1),B(a2,b2)を中心とする2つの円
f(x,y)=(x-a1)2+(y-b1)2-r12=0
g(x,y)=(x-a2)2+(y-b2)2-r22=0
を考える。
これら2つの円までの接線の長さの比がm:nになる点の軌跡の方程式は
f(x,y)/m2=g(x,y)/n2
である。だから
n2f(x,y)-m2g(x,y)=0
となる。
これは円を表し、
その中心は線分ABを(-m2):n2に分ける点、つまり m2:n2に外分する点
である。
ここで2つの円f(x,y)=0,g(x,y)=0の半径を限りなく0に近づければ、できあがり。
[まとめ]
上の方程式
n2f(x,y)-m2g(x,y)=0
つまり
m2{(x-a1)2+(y-b1)2-r12}-m2{(x-a2)2+(y-b2)2-r22}=0
は、もとの2つの円までの接線の長さの比がm:nになる点の軌跡であり、円を表す。そしてその中心は線分ABをm2:n2に外分する点である。
とくに
r1=mk、r2=nk (k∈R)
のとき、アポロニウスの円に一致する。
(つまり2定点A,Bからの距離の比がm:nである点の軌跡になっている。)
(∵)上の図で、r1=mk、r2=nkであるとき△PRAと△PTBは相似である。だから
PA/PB=PR/PT=m/n