2次方程式の解について

愛知県立高浜高校  山崎 博司

 研究の動機

あるとき
「実係数の2次方程式の解は虚数解のときは共役な2数なのに実数解のときそうでないのはなぜか」
という質問をされた
それで、どんなしくみになっているのか調べてみようと思った

 具体例で調べる

実係数の2次方程式
  ax2+bx+c=0 (a≠0)
の2つの解の複素平面上での関係を調べてみる
まず具体例
  (1) x2−4x+5=0 虚数解
  (2) x2−4x+4=0 重解
  (3) x2−4x+3=0 異なる2つの実数解
について実験的に調べ、次に数式によって裏付けをする

 以下では
  z=ax2+bx+c=0 (a≠0)
また、
   x→x+yi,z→z+wi  x,y,z,w∈R
とおきかえる
すると、この2次関数は
  (x,y)→(z,w)
という対応だから、グラフは4次元の図形になる
それを視覚的に表わすことには無理があるので
  z=f(x,y),  w=g(x,y)
のグラフをを別々に描いてみる
2次方程式
  ax2+bx+c=0
の解は、z=0 かつ w=0 となるような(x,y)である
そのような点(x,y)は2つのグラフを照合すればわかるであろう

(1) x2−4x+5=0 虚数解の場合

 
z=Re[(x+y I)^2-4 (x+y I)+5] 
Plot3D[z,{x,0,4},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->50, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","z"}]; 

 
w=Im[(x+y I)^2-4 (x+y I)+5] 
Plot3D[w,{x,0,4},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->50, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","w"}]; 

(2) x2−4x+4=0 重解の場合

 
z=Re[(x+y I)^2-4 (x+y I)+4] 
Plot3D[z,{x,0,4},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->60, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","z"}]; 

 
w=Im[(x+y I)^2-4 (x+y I)+4] 
Plot3D[w,{x,0,4},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->50, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","w"}]; 

(3) x2−4x+3=0 異なる2つの実数解の場合

 
z=Re[(x+y I)^2-4 (x+y I)+3] 
Plot3D[z,{x,-1,5},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->50, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","z"}]; 

 
w=Im[(x+y I)^2-4 (x+y I)+3] 
Plot3D[w,{x,-1,5},{y,-4,4}, 
  PlotRange->{0,5},PlotPoints->50, 
  ClipFill->None,AxesLabel->{"x","y","w"}]; 

以上のことから、2次方程式の解は

x−y平面上における双曲線と 2直線の交点(重解の場合は、2直線と 2直線の交点)
であるようだ

 一般的な説明

実係数の2次方程式
  a(x+yi)2+b(x+yi)+c
   =(ax2−ay2+bx+C)+(2ax+b)yi=0
は 左辺の実部・虚部ともに 0 であるときが解である

z=ax2−ay2+bx+C より
    ・・・(a) 双曲線
w=(2ax+b)y=0 より
    ・・・(b) 2直線
つまり2つの図形 (a),(b)の交点が解である

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