教科通信における授業の試み

平成15年6月14日
第45回数学教育実践研究会

北海道札幌南陵高等学校 平澤 淳一

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第1号 第2号 第3号 第4号 第5号 第6号

0.はじめに

 教員になってとうとう4年目になりました。3年担任という重責を背負ってプレッシャーと戦い続ける今日この頃です。まだ初任者だった平成12年12月の第35回数実研より参加させていただき、平成13年からは(なぜか)事務局のお手伝いをするようになりましたが、当日のジュースのおつかいと司会くらいしかお役に立てていません。
 そこで、今回はいままでの3年間のまとめと、南陵高校でのラスト1年間の展望を織り交ぜてレポートを作ってみました。

1.学級通信との出会い

 教科通信を出そうと思いついたのは、担任になって学級通信を出していることから始まったのです。私自身の体験ですが、小学校1,2年の担任はまめに学級通信を出す先生でした。クラス内のことや先生自身のことなどが書かれていたと記憶しています。中学2,3年の担任も頻繁に(少なくとも週1回くらいは)学級通信を出していました。タイトルが「創造的な」という意味の「creative」で手書きにこだわって毎回手書きの通信を作っていました。今思えばどちらも当時20代後半の若い先生が担任だったのです。ゆえに、自分自身がその立場になった今「学級通信」を思いついたのは必然的な事なのかもしれません。
 それに加えて同学年の先生を中心に学級通信を発行している先生方がまわりにたくさんいることも影響しているのだと思います。学級通信のタイトルも様々で、私は自分自身が合唱をやっているということで「HARMONY」というタイトルにしています。ちなみに他クラスは「3@one」「3年3組通信」「大海」「あすなろ」「Stance」など・・・。

2.学級通信のねらい

 学級通信を出し始めて3年目になりますが、いつも心がけていることは「生徒に確実に伝えたいことを載せる」ということです。連絡事項にしても自分の考えにしても。特に現在は自分のHRでの授業というものがないため、朝と帰りのSHR(+週1回のLHR)しかクラスの生徒と顔を合わせることがありません。そのため最近は連絡事項中心の学級通信になりがちなのですが・・・
 今年は、HRで「学級通信」を出し始めて3年目になりますが、授業における教科指導の一環として「教科通信」の発行に踏み切ったのです。これを思いついたきっかけとしては、平成12年に初任者研修(学校視察研修)で札幌稲雲高校に行ったときに、運命的な出会いをした大河内先生にいただいた数学通信「MAT」を見て感動した(というか面白いなと思いました)ことと、その年の12月に初めて参加した第35回の数実研での安田先生(現札幌北教頭)のレポートの中にあった数学通信「数学談話室」を見たときにも「面白いな」と思い、自分も作ってみようかなと思い始めてきたのです。

3.教科通信のねらい

 平成12年に南陵高校に採用されてから、持ち授業数は下記のとおりでした。

平成12年度(3年副坦) 平成13年度(1年担任) 平成14年度(2年担任)
3年・理型選択C(2)×1
1年・数学T+A(4+1)×2
1年・数学T+A(4+1)×3 2年・理型数学U+B(6)×1
2年・文型数学U(3)×3
合計12単位 合計15単位(+LHR) 合計15単位(+LHR)

 そして今年度は、3年担任で授業には2年ぶり3回目の1年生担当、しかも新課程の教科書ということで準備にかなり悩みました。「学年が違う分どのようにコミュニケーションをとるべきか?」「1日2時間ある日の対応は?」「寝かせない・飽きさせない授業にできるだろうか?」・・・
 ここで、年度当初に考えたことを記述したいと思います。まず、持ち授業は下表の通りになりました。

平成15年度(3年担任)
3年・理型数学V(4)・・・@
3年・理型数学T(2)・・・A
3年・理型選択C(2)・・・B
3年・文型選択A(2)・・・C
1年・数学T+A(3+2)・・D
合計15単位(+LHR)

 今年度は5パターンの授業展開をすることになりました。それぞれについて重要視していることをあげてみると、

  1. (対象生徒33人)毎時間宿題を出し(問題集から数問)宿題ノートにやり、次の日の朝提出。チェックして昼休みに返却。
  2. (対象生徒26人)問題集「ジュニアセレクト数学演習TUAB(数研出版)」を用いての数TA問題演習授業。2クラス3展開の上位クラスなので進度が速い。
  3. (対象生徒10人)数学C(行列・2次曲線)をやり、その後問題集「ジュニアセレクト数学演習TUAB(数研出版)」を用いて数UBの問題演習。人数が少ないのできめ細かにできる。
  4. (対象生徒38人)毎週金曜日に2時間連続授業(文b)1時間目は数A「数列」をやり2時間目は問題集にて数TAの演習。比較的やりやすい生徒が多い。
  5. (対象生徒40人)1年生自然学級(1−6)新課程の教科書。
 この中で、自分の所属していない1学年のDの生徒達に向けて「数学通信」を作ることにしました。理由として、第一に入学してきたばかりの初々しい1年生にガツンとインパクトを与えてあげようということと、教科通信を通しての教科指導というものを試してみたかったということがあります。
 他クラスであっても他学年であっても、授業における教科指導というのはただ単に数学を教えるということだけではなく、イコール生徒指導なんだということをこの南陵高校の3年間で学ばせていただきました。
 したがって、他学年とはいえ時間をかけて指導していかないと授業のやりにくい状況になってしまうのは確実だと思ったので、自分自身が他の先生の数学通信を見て感動した(面白いと思った)ことを生徒に与えることができるかどうかチャレンジしてみようと思ったのです。 数学通信の内容としては、数学に関することはもちろん自分自身のことや雑談的なことも取り入れて、生徒にとって配られるのが楽しみになるような数学通信を目標として作成しています。

4.今後の目標

 今日現在で第6号まで発行している「数学通信」ですが、今後も数学に関することだけではなく、興味関心をひくような内容で3月まで続けていきたいと思っています。また最後の授業では、授業内容に関することはもちろん「数学通信」においての生徒達の感想を書かせて、4月からの新天地(?)での材料にしたいと思っています。