いろいろな形をした同じ高さの滑り台があります。各滑り台の最高地点からボールを転がすと,どのボールがより速く地面に到達するでしょうか。斜面の長さは,直線状の滑り台が一番短いのですが,結果はどうなるでしょうか?この作品は,以下の"最速降下問題"と呼ばれる問題を題材に製作されました。
最速降下問題:
|
斜面上の2点A,Bを結ぶ曲線に沿って質点が初速0で降下するとき,どんな曲線(測地線のみ考えるからこれは平面曲線)のとき,降下時間が最短となるか。(最速降下問題と呼ばれている) |
(解)求める曲線を
とおく。Fig1において2点
,
に対し
点A…
, 点P…
(gは重力加速度)
ここで m=1 としエネルギー保存則を使って

∴
・・・@
また,A,Bを結ぶ曲線
について
より,速度vは
ゆえに降下時間Tは

従って
・・・(1.1)
を最小にする
を求めるのが今の問題である。
内のc1-class曲線
に対し,曲線γの関数
・・・A
を汎関数という)。以下
を
とかく。
さて,ある関数
を使って新たな関数
を作る。εを動かすと,これは端点A,Bを固定する曲線族をあらわす。(変分曲線という)
・・・B
におけるh方向の微分という。Aに形で与えられる汎関数
の臨界値を与える関数
がある微分方程式(これをEuler-Lagrange方程式という)を満たすことを次に見ていきたい。

による)
で評価すれば
をεの関数
と考えると
)
は臨界値だから端点条件
を満たす任意のhに対して
・・・C


・・・(注2)
は
(3・1)
に対し,上記から
が臨界値(極値曲線)であることと,Euler-Lagrange方程式が成り立つことは同値である。
が
である任意の連続関数h(t)に対して常に
であれば
である(証明略)。
に対し
を求めよう。

は


をかけて


をかけて積分
∴ 
∴ 

・・・(5・1)
)
の解法
・・・@とおくと
・・・A
・・・B
・・・C



| 斜面のどの位置からボールを転がしても最下点に到達するまでの時間が同じであることを示せ。 |
(証明)点Aからボールを転がしてBに到達するまでの時間をTA,A〜B間の任意の点PからBに到達するまでの時間をTPとすればTA=TPであることを示す。

において
は本質的ではないので,改めて
・・・(6.1)
・・・(6.2)より

。点Aではa1=0,a2=2だから
・・・(6.3)

・・・(7.1)
・・・(7.2)




・・・(7.3)
・・・(7.4)
・・・(7.5)
・・・(8.1)
とおくと
・・・(8.2)

∴ 

から
を使った。
とおくと
∴ 
∴ 

・・・(8.2)
・・・(9.1)