折り紙と正多角形

−複素数平面の利用−

加 藤 渾 一
北海道岩見沢西高等学校

1.正五角形の作図

複素数 z=a+bi=r(cosθ+isinθ) が z5=1 を満たすとき,次の問いに答えよ.ただし,abrは正の実数で,とする.
(1) rの値とθの値を求めよ.
(2) zを解とする整数係数の4次方程式を求めよ.
(3) を解とする整数係数の2次方程式を求めよ.
(4) aの値を求めよ.
(新潟大学)

 この問題は折り紙による正五角形の作図法を示唆している.
 図のように(4)の a=cosθ が分かれば,OAOを支点として直線 x=a上に点Aを移動することができ,これによって頂点BEが定まる.
 条件よりz≠1,z≠0,z5=1 だから (2) z4+z3+z2+z+1=0 より
  
 ここで,とおくと,求める方程式は (3)t2+t−1=0 である.
 この方程式は折り紙で解くことができ,
a<0も許容すると, となり,頂点CDの位置も定めることができる.


 実際の折り紙による作図の場合は,煩雑をさけ t2+t−1=0 の解をそのまま使うために,最初の単位をにとる方が分かりやすい.
 次の折り図を参照してください.(折り図は上図を90°回転してある)


2.正五角形の折り図

 Qを支点としてEl1 に移す.実線が折り線となりlとの交点PP’が五角形の頂点の位置(x座標)を示す.
 後は,Oを支点としてAm1m2上に移すと五角形の4頂点が定まる.
 正方形の用紙を利用したほうが簡単である.


3.補足

折り紙で奇数辺の正多角形を作図する場合は,一つの角を導き出すことができれば,次の事実を利用することにより任意のサイズの正多角形を作ることができる.

奇数辺の多角形が円に内接しかつ内角がすべて等しければ正多角形である.

 求める辺の長さの辺の垂直二等分線が同一の点を通るように次々と角を合わせていくとよい.
 辺数が偶数のときは必ずしもこのことは成立しないのでこの方法は使えない.例えば直角を重ねながら折っていくと長方形になり正方形には必ずしもならない.

[解] 右の図で,∠OP1P2=∠OP2P1,∠OP2P3=∠OP3P2
また,∠P2=∠P3であるから∠OP2P1=∠OP3P4
よって,△OP2P1≡△OP3P4よりP1P2=P3P4
以下同様にして,多角形の辺は一つおきに等しくなる.nは奇数だから
  P1P2=P3P4=P5P6=…=PnP1=P2P3=…=Pn-1Pn
となり,すべての辺が等しくなるから正多角形である.



4.正七角形の作図

正五角形と同様にして,3次方程式の折り紙により解法を適用してみる.a=cosθの値が分かればよい.
z7=1より,
  z6+z5+z4+z3+z2+z+1=0
とおいて,t3+t2-2t−1=0
この方程式が解くことができれば,より,正五角形の場合と同様に頂点の位置を定めることができる.
EQを同時にそれぞれl1l2上に移るように折る.(実線が折り線)
これにより,解m1m2m3を得る.(これも下図は左図を90°回転している)