多角形をたたむ
(内心・傍心で遊ぼう)
=稲北高校早苗先生の実践に関連したメモ=岩見沢西高等学校
加藤渾一2000/01/29 テーマ
多角形はすべての辺だけが一直線上に重なるように折りたたむことができる |
上記のテーマは事実だろうか.早苗先生(稲北高校)の実践に関連して検討してみました.授業で使えるかどうかは別として種として検討しておいて損はないでしょう.アメリカの17歳が証明した?ということですが、どなたか資料等があれば紹介して下さい.
メモ1 紙がある1点を頂点として折りたためるとき
- 頂点から出ている折り線の本数は4以上の偶数
- 山折り線と谷折り線の本数の差は2
- 頂点の周りの折り線のなす角の1つおきの和は180°
メモ2 三角形をたたむ(内心、傍心)- 三角形は内心Iを頂点として下図のようにたたむことができ、3つの辺AB,BC,CA は一直線上に重なる.
- このとき、IA,IB,ICを決めて折りたたむと、垂線ID(IE,IFでもよい)は自動的に決定する.また、IA,IB,垂線ID(IE,IFでもよい)を決めて折りたたむと、ICが自動的に決まる.
- また、下図のように開いた図形(3辺形?)も図のように三角形を想定して、その傍心を頂点として折りたたむことができ、3つの辺(A)BE,BC,(A)CF は一直線上に重なる.
- このとき、IB,IC,垂線ID(IE,IFでもよい)を決めて折りたたむと、AIの延長線が自動的に決まる.
- 角B,Cが直角の場合も同様にして考えることができる.
メモ3
内接円をもつ多角形は(中心からすべての辺への距離が等しいから)、円の中心を頂点として(下図例参照)たたむと、すべての辺は一直線上に重なる.(図中凹角の頂点の角の二等分線は谷折りにします.山折り線とすると、折りたたみの条件より増やすべき垂線の足が辺の延長線上=多角形の内部となりたためなくなります.以下同様とします)メモ4 一般化に際して、下図のような4角形について考えてみます.
- 三角形ABEの内心I(角A,Bの二等分線の交点として)を求め、Iから辺ABに垂線をおろしてたたむと、自動的に線分IEが定まる.(実際にはIEは途中までしか折らないほうがよい)次に,角ADCの二等分線を折りIEとの交点をJとし、この点を頂点とし辺BCに垂線JGをおろして図の折り線でたたむと自動的にJCが決定し、4つの辺は一直線上に重なる.
- なぜなら、上の折り方から点Jは三角形DECの傍心となっているので、自動的に決まる直線は頂点Cを通ることになる.IEは二つの三角形の共通の角の二等分線になっている.つまり、BC,AEは二つの三角形の共通の辺になになっている.そこで、今後線分IJを背線(人間の背骨のような線なので勝手に命名)と呼ぶことにする.
- また、参考図のように三角形ABE,DECの内心を求めて折りたたむこともできるが、この場合辺DEも一直線上に重なることになる.この折り方を許すと折り方の一意性がなくなる.
メモ5 メモ4の作図法を適用すれば一般化は容易ではないか?
つまり、隣り合う2頂点の角の二等分線が最初に交わる点から最初の背線を決定し、次々と順序よく出会う二等分線により背線の頂点(つまり、内心または傍心.早苗先生は「へそ」と呼ばれていた?)を求めていくことにより最後まで行きつくことができる.次ページにその様子を図示してみた.次々と内心、傍心を求めながら折りたたんでいく様子が納得していただけるでしょうか.
なお、太線の辺が元になる三角形を構成する辺である.
(最初に各頂点の角の二等分線を作図します.最後の折れ線図にしたがって折りたたむと、すべての辺だけが一直線上に重なります)
メモ6 対称軸のある多角形
対称軸をもつ図形は折りたたみに一意性がない.(長方形の折りたたみを考えると明らか)
しかし、この場合はまずすべての対称軸(これが背線となる)で折りたたみ、その後にこれまでの折り方を適用すると一意性が保たれる.背線が先に折られる(かつ直線である)ため簡略化した折り方が可能となる.(下図参照:先ず直線LMで折りたたむ.この状態で背線の一辺を除いて一直線上に重ねる)