- 動機 y=A sin kθのグラフ
私 それじゃあθ,2θ,sin 2θの表を作ってごらん (やや,時間が過ぎる)
生徒 ふーつ(やや疲れ寿味)
私 じゃあ.グラフにしてみよう
という具合にkによって,グラフが変化するのを知るまでにはかなりの労力を必要とする.さらに,先に学習していた振幅を決めるAとの両方を考え始めると混乱し始める生徒も出てくる.A,k上の意味が実像としてつかみきれていないからだ.
そこで,A,kのグラフへ及ぼす影轡を音により直感的に知ってもらおうとしたのが,以下の内容である.
- 実施のタイミング・用意したもの
音波を使うには,「正弦曲線に入る前の動機付け」としての方法もあるかと考えたが,諸事情によりこのグラフの学晋がー通り終わったところで行った.
コンピュータ室で行ったが,準備したものは
- グラフの表示用PC
先日の数実研でいただいた"grapes"を使用
- シンセサイザー(ヤマハ・DX-7)
ただの低周波発振器でもいいのだが,学校には無かった.ただ,弾くことで音階が変えていることがー目瞭然なのと,発振周波数が安定なので使用した.同時に位相もー致した6個の倍音も発生させられるように準備して使用.
他にも,シンセサイザーの出力とマイクロフォンをまとめるミキサーも用意.この出力がアンプを介しスピーカーへつながっている.
- オシロスコープ
ミキサーの出力波形を表示.いわゆる,シンクロスコープではないため「ド」の音で1周期分が表示されるように事前に調整し設定.
- デジカメ(フジ・DS-7)
オシロスコープの表示を撮影し,同期変換器でPC用ビデオ信号に変えてから各生徒用の画面に配信.
事前にいくつかの画面を撮影しておき,万一のトラブル発生のときの代替送出映像として準備した.
- 進め方
"grapes"でA,kのグラフへ及ぼす影響を確認後,音を出さずに音程や振幅を変えた音の波形を見せて,A,kどちらの変化か考えさせた上で,音を聞かせながら波形を見せた,
必要に応じてPCのグラフ画面と切り替えた.
- やってみて
- 「大きく揺れる」とか「細かく揺れる」といったグラフの特徴を簡単に表現することができるようになった.
- A,kがグラフの何を特徴つけるかについて理解が深まった.
- 単位円上の運動を投射したものとして,グラフを導入していたが,避けていた「sin 2θ0のときは2倍の速さで回転する」の意味が少し分かったようだった.
- ("grapes"の特徴として)A,k指定の窓が別に出ることで,「何を変化させているのか」が明らかになり,理解を容易にしている部分もあった.
- 本校での状況
- 教員用の1台だけ,OSがWIn95に更新されている(他はWin3.1).本来は,各生徒にグラフ衣示ソフトウエアで試させればよかったのはいうまでもないのだが.
- その他
- 描いたグラフを音にするものもあるのだが,操作が複雑になるのと,抽象的になりすぎるので止めた.
- 単独の音では,初期位相の違いは耳ではわからないのでy=Asink(θ-α)のαについてはPC画面で確認するにとどめた.ただ,今後の「三角関数の合成」のこともあり,全て終わった後で波形の重ね合わせも演示した.
- マイクでサ行のような歯擦音で波形を見せた後で,口笛の音を見せると,正弦波形としての単純さと音の素朴さの関係に興味を持ったようだった.
また,授業後装置をイタズラしてみた生徒の中にはオシロスコープの波形が安定するところ(kが自然数)が,特定の音階になることに気が付くものもいた.