随分以前のセンター試験等で主役だったこの種の問題は,現在では内積および角度条件がつくなど,メネラウスやチェバの定理,基礎的なUFO作戦のみで何とかしようとするよりも,文字係数を用いて連立方程式に持ち込むという基本的な解法の方が重要であると考えます。
また,この裏技は限定された設定の場合ですし,時々しか活用しないのに暗記する事項が結構あります。したがって,あくまで教師側の検算用,趣味用,生徒をびっくり手品用,と押さえて,生徒の指導上に活用する事には十分な注意が必要と考えます。私は演習の解答の際に「きよしの定理」と言って別解の一つとして紹介した程度で説明はしませんでした。
今回は裏技の紹介で終わっていますが, との関連や,面積比,重心などとの関係を研究すると,さらにおもしろい事項が発見できそうな予感もしています。誰かがこれを元に素晴らしい裏技を発見したらどうか教えてください。
(2)(1)より
3点A,P,Qは同一直線上にあるから,
とおくことにより,
となる。この式を,
・・・@
と変形し,点Pが線分CD上の点であることにより,
ゆえに
したがって
・・・A
・・・(答)
また,@のし気にkの値を代入して,
DP:PC=bc:(ad+bd)
点Pが線分BE上にあることから同様の計算をして,
BP:PE=(bc+bd):ad
BQ:QC=bc:ad |
この結果を図形的に覚えてしまう。
(2)
DPにbcを,PEにadの値を書き写す。 |
PQにbdの値を書く。 |
これも形式的に覚える。
(3)
AP:PQ=(ad+bc):bd
DP:PC=bc:(ad+bd)
BP:PE=(bc+bd):ad
であったが,
これを右の図のように比の値を加えることによって求める。 |
これですべての内分比を簡単に求めることができた。
位置ベクトルを求める場合は,この比をもとに立式するか,分母のad+bc+bdと分子のadとbcを覚えておけばよい。
では都合のよい入試問題の解法に活用してみます。
2000.1.29. 数実研
【1】[1998北海学園大学]【2】[1997東北大]
三角形OABの2辺OA,OBをそれぞれ3:1,4:1に内分する点をC,Dとし,BCとADの交点をP,CDとOPの交点をQとする。ベクトル , をそれぞれ , とおくとき
(1) を , を使って表わせ。
(2) を , を使って表わせ。
【3】[1997九州芸術工科大]
0<t<1とする。三角形OABにおいて,辺OAをt:(1−t)に内分した点をP,辺OBを(1−t):tに内分した点をQとする。線分AQと線分BPの交点をR,直線ORと辺ABの交点をSとする。
, とおくとき
(1) を , ,tを用いて表わせ。
(2) のとりうる値の範囲を求めよ。