n人をr個の部屋に入れる入れ方について

北海道追分高等学校  長谷川 貢


 n人をr個の部屋に入れる入れ方をf(r)で表す。このf(r)を求めたい。
まず最初は、n=1,2,3,4,5,6 の順に数字を代入していき、それによって一般項を求めることにする。

(T)n=1,2,3,4,5,6の順に数字を代入していく。

壱)
f=1のときは、部屋が1部屋しかないから部屋への入り方は一通りより
    f(1)=1
である。

弐)
f=2のときは、部屋が2部屋よりその部屋をA(1),A(2),とする。このとき一人が選ぷことの出来る部屋はA(1)とA(2)の2部屋であるからn人全員の選び方は2通りある。しかし、この中には全員がA(1)に入るときと,A(2)に入るときの2通りあるからその分を引いて,
    f(2)=2−2
である。

参)
r=3のときは、部屋が3部屋よりその部屋をA(1),A(2),A(3)とする。
 このとき一人が選ぷことの出来る部屋はA(1)とA(2)とA(3)の3部屋であるからn人全員の選び方は3通りある。しかし、この中には全員が1部屋に入って2部屋が空のときと全員が2部屋に入って1部屋が空のときとがあるから、その分を求めることにする。
 まずは一部屋に入るときを求める。全員がA(1)に入るとき,A(2)に入るときA(3)に入るときの3通りあるから、その分は3通りである。
 次に、全員が2部屋に入って1部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3)から2部屋選ぷから通りある。また、2部屋に全員が入る入り方は弐)よりf(2)=2−2であるから全員が2部屋に入って1部屋が空のときは×f(2)通りとなる。よって、その分を引いて
    f(3)=3×f(2)−×f(1)
      =3−3(2−2)−3
      =3−3・2+6−3
      =3−3・2+3
である。

四)
r=4のとぎは、部屋が4部屋よりその部屋をA(1),A(2),A(3),A(4)とする。
 このとき一人が選ぷことの出来る部屋はA(1)とA(2)とA(3),A(4)の4部屋であるからn人全員の選び方は4通りある。しかし、この中には全員が1部屋に入って3部屋が空のときと全員が2部屋に入って2部屋が空のとき、全員が3部屋に入って1部屋が空のときとがあるから、その分を求めることにする。まずは一部屋に入るときを求める。
 全員がA(1)に入るときと,A(2)に入るとぎA(3)に入るときA(4)に入るときの4通りあるから、その分は4通りである。
 全員が2部屋に入って2部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4)から2部屋選ぷから通りある。また、2部屋に全員が入る入り方は弐)よりf(2)=2−2であるから全員が2部屋に入って2部屋が空のときは×f(2)通りとなる。
 次に全員が3部屋に入って1部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4)から3部屋選ぶから通りある。また、3部屋に全員が入る入り方は参)よりf(3)=3−3・2+3であるから、×f(3)通りとなる。よって、その分を引いて
    f(4)=4×f(3)−×f(2)−×f(1)
      =4×(3−3・2+3)−×(2−2)−×1
      =4−4×(3−3・2+3)−6×(2−2)−4×1
      =4−4・3+12・2−12−6×2+12−4
      =4−4・3+6×2−4
となる。

五)
f=5のときは、部屋が5部屋よりその部屋をA(1),A(2),A(3),A(4),A(5)とする。このとき一人が選ぶことの出来る部屋はA(1)とA(2)とA(3),A(4),A(5)の5部屋であるからn入全員の選び方は5通りある。しかし、この中には全員が1部屋に入って4部屋が空のときと全員が2部屋に入って3部屋が空のとき、全員が3部屋に入って2部屋が空のときと全員が4部屋に入って1部屋が空のときがあるから、その分を求めることにする。
 まずは一部屋に入るときを求める。全員がA(1)に入るときと,A(2)に入るときA(3)に入るときA(4)に入るときA(5)に入るときの5通りあるから、その分は5通りである。
 次に全員が2部屋に入って3部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5)から2部屋選ぶから通りある。また、2部屋に全員が入る入り方は弐)よりf(2)=2f−2であるから全員が2部屋に入って2部屋が空のときは×f(2)通りとなる。
 次に全員が3部屋に入って2部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5)から3部屋選ぷから通りある。また、3部屋に全員が入る入り方は参)よりf(3)=3−3・2+3であるから、×f(3)通りとなる。
 次に全員が4部屋に入って1部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5)から4部屋選ぷから通りある。また4部屋に全員が入る入り方は四)よりf(4)=4−4・3+6×2−4であるから全員が4部屋に入って1部屋が空のときは×f(4)通りとなる。まよって、その分を引いて
    f(5)=5×f(4)−×f(3)−×f(2)−×f(1)
     =5−5(4−4・3+6×2−4)−10(3−3・2+3)−10(2−2)−5×1
     =5−5・4+10・3+10・2−5
となる。

六)
r=6のときは、部屋が6部屋よりその部屋をA(1),A(2),A(3),A(4),A(5),A(6)とする。このとき一人が選ぶことの出来る部屋はA(1)とA(2)とA(3),A(4),A(5)A(6)の6部屋であるからn人全員の選び方は6通りある。しかし、この中には全員が1部屋に入って5部屋が空のときと全員が2部屋に入って4部屋が空のとき全員が3部屋に入って3部屋が空のときと全員が4部屋に入って2部屋が空のときと全員が5部屋に入って1部屋が空のときがあるから、その分を求めることにする。
 まずは一部屋に入るときを求める。全員がA(1)に入るときと,A(2)に入るときA(3)に入るときA(4)に入るときA(5)に入るときA(6)に入るときの6通りあるから、その分は6通りである。
 次に全員が2部屋に入って3部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5)A(6)から2部屋選ぷから通りある。また、2部屋に全員が入る入り方は弐)よりf(2)=2−2であるから全員が2部屋に入って2部屋が空のときは×f(2)通りとなる。
 次に全員が3部屋に入って3部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5),A(6)から3部屋選ぶから通りある。また、3部屋に全員が入る入り方は参)よりf(3)=3−3・2+3であるから、×f(3)通りとなる。
 次に全員が4部屋に入って2部屋が空のとぎは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5),A(6)から4部屋選ぶから通りある。また4部屋に全員が入る入り方は五)より
    f(4)=4−4・3+6×2−4
であるから全員が4部屋に入って1部屋が空のときは×f(4)通りとなる。
 次に全員が5部屋に入って1部屋が空のときは、部屋の選び方は、A(1),A(2),A(3),A(4),A(5),A(6)から5部屋選ぶから通りある。また5部屋に全員が入る入り方は五)より
    f(5)=5−5・4+10・3+10・2−5
であるから全員が5部屋に入って1部屋が空のときは×f(5)通りとなる。よってその分を引いて
    f(6)=6×f(5)−×f(4)−×f(3)−×f(2)−×f(1)
     =6−6(5−5・4+10・3+10・2−5)−15(4−4・3+6×2−4)
      −15(3−3・2+3)−20(2−2)−6×1
     =6−6・5+15・4−20・3+15・2−6
となる。


(U)一般項を求める。

(A)f(r)=r・f(r−1)−・f(r−2)−・・・−r−3・f(3)−r−2・f(2)−r−1・f(1)

 また、(i)より
   f(r)=r・(r−1)・(r−2)
     ・・・(−1)r−2r−3・3+(−1)r−2r−2・2+(−1)r−lr−1・1  (あ)
と仮定する。
上の式が正しいことを数学的帰納法により証明する。

(i)よりr=1,2,3,4,5,6までは(あ)がなりたつ。
r=i(i=1,2,3,4,5,6,,,k)までとする。
r==k+1のとき
(k+1)=(k+1)k+1(k)+k+1k−1(k−1)−k+1k−1(k−1)−
  ・・・−k+1(2)−k+1(1)
とする。
 この式で(k−m)の係数を求めることにする。
(k)=k−(k−1)k−1+(k−2)k−2−・・・(−1)(k−m)k−m+・・・
(k−1)=(k−1)−(k−2)k−1k−2+(k−3)k−1k−3+・・・+(−1)m−1(k−m)k−1k−m+・・・
(k−2)=(k−2)−(k−3)k−2k−3+(k−4)k−2k−4+・・・+(−1)m−2(k−m)k−2k−m+・・・
(k−m+1)=(k−m+1)−(k−m)k−m+1k−m+・・・
(k−m)=(k−m)+・・・

 よって(k−m)の係数は

−k+1(−1)k−mk+1k−1(−1)m−1k−1k−mk+1k−2(−1)m−2k−2k−mk+1k−3(−1)m−3k−3k−mk+1k−3(−1)k−3k−3k−m−・・・・・・k+1k−m−1(−1)k−m−1k−mk+1k−m(−1)k−mk−m

となる。

 ここで、k+1k−ik−ik−mを計算してみる。

k+1k−ik−ik−m={(k+i)!/(k−i)!・(i+1)!}・{(k−i)!/(k−m)!(m−i)!}
={(k+1)!/(k−m)!}・{1/(i+1)!(m−i)!}・{(m+1)!/(m+1)!}
={(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1i+1

また

−k+1(−1)k−mk+1k−1(−1)m−1k−1k−mk+1k−2(−1)m−2k−2k−mk+1k−3(−1)m−3k−3k−mk+1k−3(−1)k−3k−3k−m−・・・・・・k+1k−m−1(−1)k−m−1k−mk+1k−m(−1)k−mk−m
(−1)m+1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1+(−1){(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1
(−1)m−1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1+(−1)m−2{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1
(−1){(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1+(−1){(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・m+1m+1
−{(k+1)1!/(k−m)!(m+1)!}
=(−1)m+1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・{m+1m+1m+1−・・・+(−1)m−1m+1+(−1)m+1m+1}
=(−1)m+1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・{−m+1m+1m+1m+1・・・・・・
+(−1)m−1m+1+(−1)m+1m+1m+1}
=(−1)m+1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}・{(1−1)m+1+1}
=(−1)m+1{(k+1)!/(k−m)!(m+1)!}=(−1)m+1k+1k−m

よってr=k+1のときも成り立つから
(r)=r・(r−1)・(r−2)
  ・・・(−1)r−2r−3・3+(−1)r−2r−2・2+(−1)r−1r−1・1  (あ) である。