魔方陣について

追分高等学校 長谷川貢

 升目の数が奇数個である魔方陣は数字を規則に従って入れていけば,必ず作ることができる。しかし,升目の数が偶数個である魔方陣は結構面倒である。そこで,追分高等学校の1年生の授業で取り扱ったときの反応をまとめてみる。

 私の学校は,学力差がかなり大きくて,小テストをかねてプリントを配っても,10人くらいはほとんど手が着かない状態である。そのために,早く問題を解き終えた生徒のために4×4の魔方陣を与えてみた。

『図の□の中に1から16までの数を入れて,縦・横・斜めの升の中にある数の合計が全て34となるようにしなさい。』
ということである。

 初めは次のような図を黒板にかいて,早く終わった生徒がどのくらいこの問題に関心があるかを見守ることにした。

 好奇心旺盛な女子が色々と数字を入れていたが10分ぐらいではとても出来そうではなかった。仕方がないから,1列だけでもと数字を入れたが,まだ解けないので,全部で7個だけ数字を入れたところ,何人かが魔方陣を完成することが出来た。
授業の感想

 問題を見たとき,何となく出来そうな気がするのがこの手の問題の良いところであり,さらに正解が48種類もあるところがとても魅力的なところと思う。つまり,正解を発表してもそれ以外の解答が腐るほどあるから,何度でもこのネタは使うことが出来るわけである。ひょっとしたら1年に1回の割で使えば定年になるまで,毎回違った解答を披露することが可能であるのだ。とても楽しいではないだろうか。
 ここに1つの解答を載せておきます。

 魔方陣を解くコツは次のものを見ればお分かりいただけると思います。

 下の魔方陣は,上下逆さまにしても成り立ちます。
 よかったら授業で試してみてください。

魔方陣のたねあかし

 4進法で1から16までを表わしてみる。

  00,01,02,03,10,11,12,13,20,21,22,23,30,31,32,33

となる。この1桁目と2桁目に注意をする。
  1桁目は 0+1+2+3=12
  2桁目は 00+10+20+30=120
となる。この両方をたして
  12+120=132
となり,この値が全部の平均の4倍となっている。よって0,1,2,3の4個からなる巡回群を考える。

fig1fig2

 これは下に書いた表を1桁目と2桁目に分割したにすぎない。またよく見ていただければお分かりになるように,縦・横・斜めには同じ数字が入っていないことと,2つの表を重ねあわせたときに同じ組み合わせが1つもないように作ってある。よって縦・横・斜めのどこをたしても,全ての数が同じ回数だけあるから,合計も同じになると言うことである。
 1から36までにすれば,正解が多すぎて何回でも使えることと思う。