北数教“第50回数学教育実践研究会”

第10回数実研“夏季セミナー”レポート

定時制における対数の意味づけについて

札幌月寒高等学校  長谷川 貫

  1. 学校について
  2.  札幌月寒高等学校定時制課程の生徒数は前学年で現在93名です。2学年が16名と少ないですがほぼ20名〜30名です。学校は落ち着いており、授業中も私語がほとんどありません。授業態度も良いです。しかし、定時制課程という特殊性もあり、入学に学力試験を課していないこともあって、個々人の学力差はかなりあります。分数計算が理解できていない生徒はかなりいますし、中には九九が完全でない生徒や正負の計算などあげたらきりがありません。そのような中で、今回は「対数」の授業について私の実践をレポートにしました。

  3. なぜ「対数」なのか
  4.  以前、根室高校のときは「対数」を指数関数の逆間数で定義して、その後公式を証明していく、つまり「天下り」として「対数」を教えてきました。後は「問題集」を用いて問題になれることを中心に授業を進めていった気がします。しかし、この方法は、将来受験するという目的があって、そのために面白くもないし内容も分からない公式を丸暗記していくというものです。確かに数学Vに入って、微分積分までくると、「対数」というものが理解できますが、数学Vだけでは関数としての本質は理解できません。そこで実用的な常用対数でごまかしているというのが私の授業であります。

  5. 対数の導入について
  6.  指数関数の逆関数として、対数関数を導入します。それから対数の基本的な性質は証明します。今年は「指数方程式」も教えましたが、これらの内容は1割(約2人)理解できればいいと思いましたが、実際にテストに出すことは出来ませんでした。どんな問題かと言いますと、log2(x+3)+log2(x+6)=2という問題です。
     2次方程式の解法を理解していない生徒が多くいますので、上の方程式も難しく感じられるし、真数条件もとても理解できるとは思われませんので、授業では取り上げましたがテストでは出しませんでした。

  7. 対数の便利さについて
  8.  生徒の持っている電卓では計算できない数を、対数表を用いて概数だけでも求めることをしています。つまり、対数とはこんなに便利なものであるということを強調するわけです。常用対数についてある程度基礎概念を理解させるように努力します。しかし、定時制と言うところは週に数学が2時間ですし、1単位時間が45分ですから時間がありません。
     おまけにまだ3学期制ですからじっくりと説明する時間がありません。その様なわけで、対数の性質を用いてloglO3,loglO30,loglO300,loglO3000の値を求めさせてから、いよいよ本題に入ります。つまり、2.53243や367463の概数を求めることをします。対数表の値は小数点以下4桁ありますから上の数の桁数と上位2桁は求めることが出来ます。また、この計算は電卓では出来ませんから、対数の存在意義が分かったような気分になります。つまり、分かったような気持ちになるわけです。そこで今回のプリントは対数の勉強を初めて7時間目くらいだと思います。時間がないので多少は急ぎがちですが仕方のないことと思っています。

  9. テスト結果について
  10.  対数表を参考にして2100と3200と63OOで同じような問題を出しました。結果は全部正解であったものは6名いました。全部で24名ですからまあまあの結果と思っています。私の授業の方針としましては、そのものの存在意義を中心に説明することにしています。つまり、なぜその様なことを考えることになったのかということから現在ではどのようにそれが使われているかと言うことです。受験以外にももっと面白く数学を教えられたきっと楽しい授業が出来ると思っています。出来ればもっと数学の本質に迫った授業が出来ればとも思っています。

【 授業使用プリント | 定期考査問題 】