●送信(11月12日)
-----Original Message----- 早苗@北数教数実研です。 9月に出された「情報教育推進の調査研究協力者会議(第1次報告)」の中で、次期学習指導要領においては、高等学校普通教育に関する教科「情報(仮称)」を設置することが提案され、新教科は「可能な限り必修にすることが望ましい」と述べられています。 ******************************************* ●返信1(11月13日) -----Original Message----- > 特に私が危惧するのは、「情報科」が単なる現在の商業科目の延長のような 全く同感です。現行の数学A,B,Cも環境や言語に依存しない部分に力点をおけば、それなりのものになるとは思いますが、実際には「BASICを覚える」ことになってしまうのではないでしょうか。 福 島 伊知郎 -----Original Message----- 礒田@筑波大です。 追伸 -----Original Message----- 木山@広島市立大学です。 早苗さん>特に私が危惧するのは、「情報科」が単なる現在の商業科目の延長のような 福島さん> それなりのものになるとは思いますが、実際には「BASICを覚える」 福島さん> どんな状況にあっても支えて -----Original Message----- 奈良からこんにちは。 From: Ichiro FUKUSHIMA 鴨 浩靖@情報科学科.理学部.奈良女子大学 ----Original Message----- KAMO Hiroyasu wrote: > 環境や言語に依存しない部分に力点を -----Original Message----- 群馬の上原です。 早苗>特に私が危惧するのは、「情報科」が単なる現在の商業科目の延長のような 木山>社会に出て役に立つテクニックならば、それでいいと思います。 福島> それなりのものになるとは思いますが、実際には「BASICを覚える」 木山>BASICを覚えさせてどうするのでしょう。 磯田>私も早苗先生、福島先生と同じで、内容教科の充実なくして、例えば 今日、群馬県を4つに分けた一つの中毛地区の技術科の授業研究会に参加してきました。私は、技術は免許外なのですが、学校事情により情報基礎のみ、指導しています。その学校では、WIN3.1が動作しているのですが、WINアプリはペイントブラシしか使っていないとのことでした。WIN95が導入されている他の学校でも、DOS時代から使われているハイパーキューブを使っていて、言語はN88を使っているそうです。WIN95上でもいかにN88を使っていくかということを技術科の方々は真剣に考えていました。教師自身もDOS環境のままである方が多く、情報基礎の指導が困難な方も少なくないとよく聞きます。情報教育における学校間格差はかなりあるのが現状のようです。情報教育に対してもその中心的役割を果たすであろう技術科の現状としては、コンピュータが全国的に導入された約5年前の状況と指導しようとする内容は大きな差がないといえるのかもしれません(これも学校間・地域間の差が大きいでしょうが)。 P.S.「MowMowMowの部屋」は、下記の通り、昨日引っ越しました。
差出人 : sanae
日時 : 1997年11月12日
件名 : [mathedu97-01110] 情報科の設置と必修化?
現在の指導要領においても情報科目の設置は可能ですが、現実的には普通高校で新しい科目を設置しているのはごくまれです。
また、数学のカリキュラム面から見た場合にも、現行の数学A,B,Cにおいてコンピュータに関する部分は内容を選択して履修することは可能ですが、ほとんどの学校で履修されてはいません。
こうした現状から考えた場合、真に現場に情報教育を浸透させようと考えるなら、新教科の設置と必修化は最も実効性がある方法と考えられます。
そうなった場合、現場サイドにとってはかなりグローバルな変革といっていいでしょう。
しかし、内容面、環境面、人材面など様々な問題が考えられ、スムーズな導入は困難であることが予想されます。
特に私が危惧するのは、「情報科」が単なる現在の商業科目の延長のような形になるのであれば、情報活用のテクニックの習得に偏り、情報活用による“科学的な理解力養成”が損なわれる危険性があるのではないかという点です。
情報教育をすべて「情報科」に押しつけ、全体的な情報教育が後退する危険性があるような気がするのです。
こうした点を踏まえ、「情報科」で扱う内容はきちんと体系づけて吟味する必要があるのではないでしょうか。
どう思いますか?
数学教育実践研究会 運営委員
札幌稲北高校 早苗雅史 (suujitu@nikonet.or.jp)
TEL 011-694-5033 FAX 011-694-5074
ネットワーク型教材データベース「数学のいずみ」
URL http://www.nikonet.or.jp/spring/
*******************************************
差出人 : Ichiro FUKUSHIMA
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01111] Re: 情報科の設置と必修化?
>形になるのであれば、情報活用のテクニックの習得に偏り、
>情報活用による“科学的な理解力養成”が損なわれる危険性が
>あるのではないかという点です。
> 情報教育をすべて「情報科」に押しつけ、全体的な情報教育が
>後退する危険性があるような気がするのです。
私は現在までの「数学」の内容の、「もののみかた」の部分(これは先生方それぞれお持ちのことと思いますが)を強調していくことによっても、基礎情報教育は十分にやっていけると思っています。
私自身は、ちょっと古いと思われるかも知れませんが、ルザービンの本に出会ってからというもの、数学の持つ一般性と発展性に全面的な信頼を寄せているものです。
極端なのかも知れませんが、必要な部分は数学も、数学者も、数学教師(きっと本当は一番大事です)も変わっていくこととして、どんな状況にあっても支えていける力を数学そのものが持っていると考えています。
ichiro@ms.u-tokyo.ac.jp
nn66040@hongo.ecc.u-tokyo.ac.jp
東京大学大学院 数理科学研究科数理科学専攻 修士課程
湘南学園中高等学校/研数学館/中央区交響楽団
●返信2(11月13日)
差出人 : Masami Isoda
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01112] Re: 情報科の設置と必修化?
楽しみな話題ですね。
私も早苗先生、福島先生と同じで、内容教科の充実なくして、例えばofficeの使い方やってもしょうがないという考え同感ですが、テクノロジーは、内容の系統の側からというより、問題の探究の側からの文脈を強調するので、そのあたりどうなんだろうと思います。
すでに、情報科やそれに近い特設教科を教えていらっしゃる先生や情報科学の方はどのようなお考えをお持ちなのでしょう。伺ってみたいですね。
電卓は教室に?という話題、沢山のお考えを伺うことができて、勉強になりました。
ありがとうございました。
●返信3(11月13日)
差出人 : Masato KIYAMA
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01113] Re: 情報科の設置と必修化?
一応情報科学部なので、意見を言わせていただきます。
早苗さん>形になるのであれば、情報活用のテクニックの習得に偏り、
早苗さん>情報活用による“科学的な理解力養成”が損なわれる危険性が
早苗さん>あるのではないかという点です。
商業科目では何を教えているのかわかりませんが、社会に出て役に立つテクニックならば、それでいいと思います。
福島さん> ことになってしまうのではないでしょうか。
BASICを覚えさせてどうするのでしょう。
僕は、BASICを覚えさせるくらいなら、ExcelやWordの使い方でも覚えさせたほうがいいいと思います。
福島さん> いける力を数学そのものが持っていると考えています。
僕も強くそう思います。
だからもし、情報科で“科学的な理解力養成”が損なわれても、数学がフォローしてくれるでしょう。
●返信4(11月13日)
差出人 : KAMO Hiroyasu
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01115] Re: 情報科の設置と必修化?
情報科学からの視点も求められているようなので、参加します。
とりあえず、少なくとも、われわれの現に行なっている情報科学の一部が高校の「情報科」の目標の一部と重なっていることを仮定して議論します。この仮定がそもそも成立するかどうかについてはおおいに疑問があるのですが、難しい問題なので、先送りします。
Subject: [mathedu97-01111] Re: 情報科の設置と必修化?
Date: Thu, 13 Nov 1997 01:12:03 +0900
> 全く同感です。現行の数学A,B,Cも環境や言語に依存しない部分に力点をおけば、
> それなりのものになるとは思いますが、実際には「BASICを覚える」ことになって
> しまうのではないでしょうか。
環境や言語に依存しない情報科学教育は不可能です。実験器具や薬品に依存しない化学教育を求めるようなものです。環境や言語に依存しない部分に力点をおいた情報科学教育は可能ですが、それは、現状では次のどちらかの方法しかあり得ません。
1. 筋の良いプログラミング言語を使った実践的なプログラミング教育を、コーディングよりもプログラム設計を重視したカリキュラムで行なう
2. 数学の一分野として、帰納的関数論(計算量理論を含む)を教える
大学の一般教養科目(と呼ばずに、「全学向け科目」など他の呼び方をすることが、最近では一般化しつつありますが)として行なうなら、1も2も可能ですし、現に、私たちも1らしきことを行なっています。たまたま教える能力のある人がたまたま興味を持った高校生に個別に趣味的に教えるならば、1も2も可能でしょう。
しかし、高校のカリキュラムとして行なうとなると、現状では難しいでしょうね。数世紀かけて、微分積分学の初歩をまがりなりにも高校生に教えることができるまでになった歴史からすると、長期的には2は実現可能ですが、今すぐは無理でしょう。あと半世紀ぐらい、時間をもらいたいところです。1も、カリキュラムを決めようとしたところで、「プログラム設計」とは何かでソフトウェア科学屋さんとソフトウェア工学屋さんが対立するかもしれません。「筋の良い言語」とは何かについて、大勢の半可通が好き勝手を言って収拾がつかなくなることもあるでしょう。数学教育現代化運動の二の舞いが落ちでしょうね。
悲観的な意見で、ごめんなさい。
●返信5(11月13日)
差出人 : nobu
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01116] Re: 情報科の設 置と必修化?
> 環境や言語に依存しない情報科学教育は不可能です。実験器具や薬品に依存し
> ない化学教育を求めるようなものです。
今回に限らず,「情報科」で何を教えるかってことを考えるときに漠然とあった思いをスパッと代弁してもらった感じがします。
> おいた情報科学教育は可能ですが、それは、現状では次のどちらかの方法しか
> あり得ません。
> 1. 筋の良いプログラミング言語を使った実践的なプログラミング教育を、
> コーディングよりもプログラム設計を重視したカリキュラムで行なう
> 2. 数学の一分野として、帰納的関数論(計算量理論を含む)を教える
1.のほうがより現実的かなと感じます。
筋のよい言語が何かというのはわかりませんが,10行あたりのプログラムの読み書きでも良いような気がします。
低次元の話になるかも知れませんが,私自身の体験からいうと70年代に大学でフォートランを始めて勉強させられたとき二次方程式を解くプログラムをかくには(とりあえずは)解の公式に基づいて計算させればよいと分かったときに,とにかくコンピュータって「よくわかんないけど,凄いもんだ」といった畏怖の念が消えたように思います。
必須っということは,分数はおろかわり算さえまともにできない生徒も履修する可能性もあるので,私の当初の感触をわかってもらえるだけでもいいのかなって気もします。
小中学校でどこまでやるかとか,「習字」と同じように「キーボードやなんかの操作」を扱うってこともあるのかも知れませんが。
●返信6(11月13日)
差出人 : MOW
日時 : 1997年11月13日
件名 : [mathedu97-01117] Re: 情報科の設置と必修化?
早苗>形になるのであれば、情報活用のテクニックの習得に偏り、
早苗>情報活用による“科学的な理解力養成”が損なわれる危険性が
早苗>あるのではないかという点です。
福島> ことになってしまうのではないでしょうか。
木山>僕は、BASICを覚えさせるくらいなら、
木山>ExcelやWordの使い方でも覚えさせたほうがいいいと思います。
磯田>officeの使い方やってもしょうがないという考え同感ですが、テクノロジー
磯田>は、内容の系統の側からというより、問題の探究の側からの文脈を
磯田>強調するので、そのあたりどうなんだろうと思います。
つまり、情報基礎では、WIN95機種に変わりつつありますが、N88系BASIC、FINDOUT、LOGOを指導していこうとする方々が多いのが現状です。このまま進んでいくとBASICの指導が増え、コンピュータ嫌いが増えることが危惧されます。
また、OFFICEの使い方だけを教えても、教職員の研修会をみても明らかなように、それが役にどれだけ立つかは疑問です。何らかの形で技術習得の指導は必要ですが・・・。
「情報科」をはじめ、全体的にどのように情報教育を進めていくかが、大きな課題になっていると思います。しかし、それは、情報化の急速な進展に対応していくには、現状では窮屈すぎると思われます。
10年ごとの学習指導要領では、細かな対応が難しいのではないかと思います。大枠を示し、指導資料等で補足、軌道修正を加え、数年単位で、指針を示していくのが現実的だと思います。
特設教科の新設は、情報教育推進の大きな原動力となるかと思いますが、数学科をはじめ多くの教科でコンピュータの扱いが「コンピュータの学習」から「(道具のひとつとして)コンピュータを使った学習」として認識されているように、表現するひとつの手段、情報収集のひとつの手段として、教材のひとつとして、・・・・・というように扱えるように、各教科の中で活用できるようなゆとり(現行カリキュラムをこなすのが大変、学校5日制に対応するにも多くの無理をしている)とその活用のさらなる明示が必要とも考えます。
そのような教科指導の過程で、ワープロ・図形処理・表計算・データベース・言語等が必要に応じて、学習していけることが望ましいと考えます。理想に過ぎず、カリキュラム的に難しい面もあるかと思いますが、中学校の数学の教科書で、問題の横に電卓マークがついたり、学習内容の間にコンピュータソフトの紹介がありますが、問題のとなりに、コンピュータソフトの画面を入れ、「図形ツールで調べてみよう!」というように、教科書で積極的に導入を進めていくことも必要なのではないかと思います(現状では検定等で難しいものもあるかと思います)。
(_ _)>(長くなりましたのでこの辺で・・・)
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上原 永護
「MowMowMowの部屋」
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