このようにして求められた“変身多角形”には共通の重要性質があり,そのことについて調べてみよう。正n角形の“変身n角形”は,(元図)の基底が,であるときはAkが
となるような“変身”をする。(この場合1≦k≦n−1)。
また(元図)の基底が,であるときはとなる。
まず(元図)の基底が,の場合から考えてゆくことにしよう。(新図)の各点は既に求められているが,Akの(新図)での座標はAk(xk,yk)としよう。このとき
, となる。
そこでAk(xk,yk)とAn-k(xn-k,yn-k)との関係を考えてみたい。
sin(n−k)θ= sin(nθ−kθ) = sin(2π−kθ)= sin(−kθ)=−sinkθ
同様にcos(n−k)θ=coskθ (∵)であることを利用すると
となる。従ってAk(xk,yk)に対してAn−k(xn−k,yn−k)はAn−k(yk,xk)となっている。
つまりAkとAn−kは直線y=xに関して対称な点となっている。
nが偶数のときk=1,2,3,・・・,に対してn−k=n−1,n−2,・・・,が対応し,A1とAn−1,A2とAn−2,・・・,ととがそれぞれy=xに関して対称な点となり,のときはAkとAn−kとは同じ点となり直線y=x上の点となる。
またnが奇数の場合は,A1とAn−1,A2とAn−2,・・・,とがy=xに関して対称な点となる。
以上より“変身n角形”の図はy=xに関して対称な図であることがわかる。
次に(元図)の基底が,である場合について考えることにしよう。(新図)での点AkはでこれをAk(xk,yk)とおく。
このとき,である。
sin(n−k−1)θ= sin(nθ−(k+1)θ) =−sin(k+1)θに注意しつつAn−k(xn−k,yn−k)について調べてみよう。
またA1+k(x1+k,y1+k)については
となっている。
以上よりx1+k=yn−k,y1+k=xn−kとなりAn−k(xn−k,yn−k)に対してA1+k(x1+k,y1+k)はA1+k(yn−k,xn−k)にとなり,An−kとA1+kとは直線y=xに関して対称である。
前と同様な考察により基底が,のときの“変身n角形”も直線y=xに関して対称な図となる。
またnが奇数のとき,1+k=n−kよりは整数となり,An−kとA1+kとは同じ点となり,これは直線y=x上の点となる。つまりnが奇数のときは直線y=x上にある。
以上の性質は(元図)の正n角形を調べて導く事もできる。例えばnが偶数で基底が,とする場合,線分A1An−1,A2An−2,・・・,は互いに平行であり,それらの中点は直線A0の上にある。
1次変換fによってA0とをつなぐ直線は直線y=xに移され,A1An−1の中点はこの直線上に移される。このことから(新図)がこの直線に関して対称であることを導く事ができる。また基底が,である場合,(新図)においてはの関係があり,これは図を描く際に役立つ性質といえる。