小規模校と大規模校における教科指導連携・交流の実践

北海道上川高等学校
若林 理一郎

1 概要と目的

 上川高校では先日、「教科指導連携・交流」なるものを実施した。内容は、長期休業中における講習において、旭川東高校(大規模校)の教員を講師として招へいし、本校(小規模校)の教員と協力して、進学を希望する生徒の教科指導にあたるというものである。
 目的は、一つには本校生徒の進学意欲の更なる向上と受験に向けての学習方法の習得、二つ目は教員同士が指導を連携し合う中で、更に幅広い層の生徒に対応し得るよう研修を深めることにある。

2 実施にあたっての準備

 両校とも夏期講習の時期で、しかも、50km近く離れた場所を移動しなければならないため、日程や時間割の調整が難しかった。これについては、少人数で実施している本校側で調整を行うことにより、2人の先生に各2コマ(1コマ90分)の授業を担当していただけることになった。
 また、今回は試験的に実施するという観点から、チーム・ティーチングや個別指導など、さまざまな授業形態で取り組むこととし、目的達成のための効果的な指導方法について模索した。

3 実施状況と生徒の反応

(1)3年生理系進学希望者(数学)

 当初、複数名であったが、この日は1名のみの受講となった。夏期休業前の打ち合わせで、前日の講義(不定積分〜定積分)までが本校教員が担当、この日の講義(積分の応用〜受験に向けた対策説明)は旭川東高の先生にお願いした。
 1対1の個別指導ではあったが、基礎・基本の定着とともに、生徒の志望先に合わせて、ポイントをおさえた問題演習で、生徒にとっては普段はなかなか体験できない雰囲気を味わったようである。

(2)2年生進学希望者(数学)

 男子4名が受講した。当初の予定では、授業で問題演習を取り入れ、教員3名でほぼ個別対応に近い形式での指導を行う予定であったが、諸事情で最後の10分ほど、受験に向けて学習方法について、旭川東高の生徒の様子もふまえながら講義していただいくことになった。
 生徒の反応としては、受験の厳しさ、受験に向けて大切なことやしなければならないことを知ることができ、なかなか小規模校だけの学習では得られないものをつかめたという点で大きな意義があったようである。

4 今後に向けての課題

 終了後、懇談を実施した中で、次のような意見が出た。

 授業形態については、進度上うまく調整できなかったこともあり、個別対応のスタイルでの実施研究については今後の課題となったが、当初の目標にあった生徒の意識向上や教員の学習指導に対する研修の深化については、十分達成できたのではないかと考える。
 今後も教科指導連携が続けていくにあたって、

  1. (1)長期間・継続的な実践についての研究
  2. (2)小規模校教員の大規模校への授業(講習)見学等

も含めて、さらに実践を深めていきたい。

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