士商における「数検」への取り組み

北海道士別商業高等学校  教諭 若 林 理一郎

1 「数検」とは?

 北海道士別商業高等学校では、平成12年度より日本数学検定協会主催の「実用数学技能検定」(以下「数検」という)に取り組み始めた。この「数検」は次の2種類の検定から成り立っている。
  1. 「計算技能検定」:計算技能を観る
  2. 「数理技能検定」:数理応用技能を観る
 さらに「数検」は、8級から1級までの10段階の受検級がある。

受検級検定内容例(学年は目安)受検料
8級整数や小数の四則演算、面積の計算(小4)2500円
7級基本図形、体積の計算、百分率(小5)2500円
6級分数計算、比例・反比例、資料の整理(小6)2500円
5級正負の数、一次方程式、平面図形(中1)3000円
4級連立方程式、三角形・四角形の基礎(中2)3000円
3級平方根、二次方程式、円、相似比(中3)3500円
準2級二次関数、三角比、数列の基礎(高1)4000円
2級関数、円の方程式、ベクトルの基礎(高2)4500円
準1級行列の基礎、微分・積分の基礎、曲線(高3)5000円
1級線形代数、微分・積分・確率・統計(大学)5500円

 この「数検」の合格基準は「計算技能検定」が問題の70%程度以上、「数理技能検定」が60%程度以上の正答が必要である。「数理技能検定」では特に、解法の過程が重視される。
 また、一方の検定のみの合格では、その合格証が授与されるとともに、次回以降は他方の検定のみの受検をすればよいこと(試験免除)になる。両方の検定を合格すると、該当級の「実用数学技能検定合格証」が授与されることになる。

2 「数検」の実施にあたって

 本校は専門高校として、将来のビジネスのスペシャリストを目指した教育を実施している。その教育活動の一環としては、簿記・ワープロ・情報処理など、商業に関する検定の取得に力を入れている。普通教科においても「英検」をはじめ、数年前からは「漢検」も行われるようになり、受検 者も多くいる。
 数学科の教員の中では、1、2年前から「数検」の受検について話題となっていたが、今年度の実施に向けて、最初に「数検」受検の意義を検討した。その結果、本校数学科では、「数検」受検の意義を次の通りにとらえた。
  1. 検定取得を通しての数学学習に対する意欲の向上
  2. 「計算技能検定」対策に向けての学習における「基礎・基本」の更なる定着
  3. 「数理技能検定」対策に向けての学習における「数学的な見方・考え方」を活用する態度の育成
  4. 数学に対する「興味・関心」を持たせる

 そして次に、実施に向けて、次の取り組みをした。

  1. 「実用数学技能検定」についての紹介
    全校生徒に、授業の中で紹介のプリントを配布し説明した。
  2. 受検希望者の調査
    各教科担任が継続的に呼びかけしながら、受検者の募集を行った。
  3. 団体受検申し込み
    団体受検での制約の説明や受検級の選択に関する指導を行った。
  4. 検定対策学習
    受検生に対して、任意で補習を実施した。
  5. 検定
    要領に沿って、本校で実施した。

3 生徒への紹介と団体受検について

 「数検」紹介に当たって、日本数学検定協会より関係資料をFaxにて申し込み、取り寄せをした。そして、検定のねらい、級別の範囲・内容等が紹介されたプリントを全校生徒に配布し、その説明を授業の中で紹介した。その後、任意で受検希望者を募ることにした。なお、団体受検に際しては、次のことが制約としてあった。
  1. 原則として10名以上の受検者がいなければ開催できない。
  2. 団体受検が認められれば、個人受検に比べて1人500円ずつ受検料が割引になる。

 上記のことや検定対策学習の予定についても説明を行った。
 協会によると、道内では札幌と帯広の2カ所しか個人受検の会場がないとのことであった。従って、いずれの受検地も遠隔地である本校生徒にとっては団体受検せざるを得ないので、教員側も申込期間を長く確保し、幾度も授業の中で呼びかけ、できるだけ多くの受検生を確保できるよう努力した。その結果、16名の生徒が受検することとなった。

4 受検級の選択について

 検定の申し込みの際、受検生には受検級に関する指導を行った。本校の平成12年度入学生の数学に関するカリキュラムは、次のようになっている。
1年次  数学T(必修:3単位)
2年次  数学T(必修:2単位)
3年次  数学A(必修:3単位) 数学U(選択:3単位)
 従って、3年生は、普通高校における高1程度を範囲とする準2級、1・2年生については、中3程度を範囲とする3級を原則として勧めるようにした。これは、できるだけ受検生が合格できるようにするために教員側として配慮したものである。そして、受検生の状況は次の通りになった。
準2級  3年生 4名  2年生 4名
3 級  3年生 2名  2年生 1名  1年生 4名

5 検定に向けて

 申し込みの後は、検定の前2週間程度、検定対策補習を行った。準2級と3級のクラスに分かれ、受検生は任意で出席し、問題演習を中心に行った。3年生は部活動を引退していたので、比較的容易に学習を進められたが、1・2年生は、勉強と部活動の合間を縫っての厳しい参加だった。過去の問題を中心として演習を行ったが、「計算技能検定」の問題では、それほど差はないように思われたが、「数理技能検定」の問題では、受検生の中で普段の授業では計り知れない、予想以上の実力を見せる者も見られた。

6 検定当日と実施状況の反省

 検定当日は、「団体受検のしおり」という資料にある「団体受検の流れ」に沿って、校内の1教室を使用して、検定を実施をした。解答用紙は採点の都合と、割合早い段階で解答がインターネット上で公表されることから、検定終了後3日以内に返送しなければならなかった。
 検定から約1ヶ月後に結果が郵送されてきた。結果は以下の通りであった。
準2級  合格者 2名  「計算技能検定」のみ合格 2名
3 級  合格者 2名  「計算技能検定」のみ合格 2名

 検定終了後、教科内で反省会を行った。反省点は以下の通りであった。

がというものであった。

7 「数検」を実施した意義

 教科での反省の後、「数検」を実施した意義について考えてみた。結果、「数検」を実施した意義として、次のことが挙げられる。
  1. (特に数学の学習に意欲的な生徒に対して)数学の学習意欲に対する意欲をさらに喚起するきっかけとなった。
  2. 検定を通して、数学に対する興味・関心を持つきっかけとなった。
  3. 自己の進路実現のための努力目標の1つとして、生徒の指針となった。

 特に、「意欲」という観点については、2年生を中心に、次回の検定について問い合わせてくる生徒が複数名あった。

8 今後の「数検」実施に向けて

 この「数検」については、どの程度の学校で実施されているかわからない(道内では過去に50校ほどの高校で行われたらしい)が、選択教科の中で活用されているところもあるように聞いている。これに限らず、それぞれの学校によって、それぞれの目的を持って実施することが可能であると思う。私個人としては、生徒の数学に対する興味・関心や学習意欲の喚起、さらに、普段では観られない個々の生徒の数学に関する力量を見極め、数学的な考え方の活用能力の向上をはかる指導に役立てていくため、今後も継続していきたいと考える。
 最後に「数検」に関する情報は、以下のホームページで見ることができることを付記しておく。
http://www.suken.net