新科目『数学基礎』の教材

小笠原 節
北海道富川高等学校
平成14年11月

概要

 本校では,平成15年度から第1学年で,新科目「数学基礎」を(商業科全員)履修します.(教科書は数件出版のもの)
 数学基礎の関する教材では,
 『問題の理解はやさしいが,解法がそうはやさしくない』というものがふさわしいと考えております.
 今回は,両替問題をまとめてみました.

【両替問題と支払い問題】

 100円硬貨の両替は,10円硬貨5枚と50円硬貨1枚か10円硬貨10枚への両替が一般的でしょう.
 しかし,まだまだ他に両替の方法があります.
 それを全部数えてしまおうという教材を作り,使用しています.
 コンピュータ向けの教材でもあり,プログラムを組んで解いてみるのもおもしろいと思います.
 母関数の考えを使えば,一般的に解くことができます.
 今回は,Mathemediaを使用して母関数の考えをつかったものもやってみました.
 解法は,参考文献の本によります.こんな解法は,私にはちょっと思い浮かびません.
   (1+x+x2+x3+…+x99+x100)
が1円硬貨の支払いを担当する(?)式で,
   (1+x5+x10+x15+…+x95+x100)
が5円硬貨の支払いを担当する式,    (1+x10+x20+x30+…+x90+x100)
が10円硬貨の支払いを担当する式です.これらを展開したときのx100の係数が両替の場合の数ということになります.
 Mathemediaの入力では,100円の両替にしぼり,1円の担当分は,
   (1+x+x2+x3+…+x99+x100)
ではなく,はんぱができない5円刻みで考えて,
   (1+x5+x10+x15+…+x95+x100)
と入力しています.
 これは
   
の式を考えれば解消できますが,Mathemediaではうまく計算できませんでした.
 問題としては,両替の他に,『支払い問題』も考えられます.手持ちの金額で,お釣りなしで,何とおりの支払いができるかという問題です.
 こういう問題を生徒は,やみくもに解いていきます
 問題の理解がやさしいので簡単だと思ってしまうようですが,事前に「数える」のではなく,「数えきる」むずかしさを強調します.
 しかし,それでもデタラメにかきくだしていく生徒が多いのには驚きです.
 「順序よく数えることの迫力」は,数学の根底にあるものだと思うのですが,こういう方法論を新教科「数学基礎」で前面に出していきたいものです.

このレポートで使用されている資料を,ダウンロードすることができます.
  1. 支払い方法が何とおりあるか考える  「sheet_1.PDF(34KB)」
  2. 100円を両替する(問題)  「sheet_2.PDF(44KB)」
  3. 100円を両替する(解答)  「sheet_3.PDF(45KB)」
  4. Mathmediaによる出力  「sheet_4.PDF(5KB)」
  5. 『100円の両替は何通りあるか』を十進BASICで解くプログラム  「program.pdf(18KB)」

参考文献

[1]G.ポリア他『組み合せ論入門』近代科学社
[2]数学ソフト『Mathemedia』