不等式の表す領域と解の実数条件

■基本事項
学年/科目/単元 2学年/数学U/図形と方程式
学校名/作成者/作成年月日 札幌新川高校/早苗雅史/2003.11.3
実施形態/実施上の留意事項 プレゼンテーション/特になし
GRPSバージョン/ファイルダウンロード 6.22/ryouiki_f.gps(4KB)
■題材の内容

点(x,y)が原点を中心とした半径1の円の周上及び内部を動くとき,点(x+y,xy)の動く領域を図示せよ。

■学習の流れ

【展開1】
まず題意を把握するために,具体的に円周上の点を動かしながら点(x+y,xy)をプロットしていくことでイメ−ジを膨らませてみましょう。円内の点P(x,y)に対して(x+y,xy)を対応させたのが,矢印の先の点Qです。いくつか試してみましょう。
【展開2】
普通は図形の周上を動かすと答えが得られますね。では円周上の点を変換させてみましょう。すると一つの放物線らしきものが姿を現しました。この曲線の式は次の様にして求められます。
 x+y=u,xy=vとおくと,x2+y2=1よりu2−2v=1
【展開3】
実は求める領域はこれだけではないのです。先ほどは円周上の点だけを変換しましたが,円の内部の点も変換してみましょう。どのようにしたら変換できるでしょう。円の半径をどんどん小さくして,先ほどと同様に円周上の点を変換させていけばよいのです。
【展開4】
すると現れたのは二つの図形にはさまれた領域です。一つは先ほどの放物線です。領域でいうと
 x+y=u,xy=vとおくと,x2+y2≦1よりu2−2v≦1・・・@
と一つの領域しか得られませんが,コンピュ−タの表す図形はもう一つあります。その実態は何でしょうか。問題に使われている式は円の方程式だけなのです。
【展開5】
実は点(x+y,xy)のとりうる領域は,「円の周上及び内部」という条件に関係なく,ある一定の図形を描くのです。実際に平面全体を一定の間隔で(x+y,xy)の点へ全て動かしてみよう。
【展開6】
”実数x,y”という条件だけで,既に点(x+y,xy)はある領域を表していたのです。この“実数”という条件は式の上では,
 x+y=u,xy=vとおくとx,yはt2−ut+v=0の解であるから
 D=u2−4v≧0・・・A
先ほどの円を動かした領域@とこの点(x+y,xy)の表す領域Aで求める解が得られるのです。

■留意点・工夫点

  • x+y=u,xy=vとおくとx2+y2≦1よりu2−2v≦1という式はすぐに導かれますが,実数条件を忘れてしまいがちな生徒が多いようです。まず,具体的に円周上の点を動かしながら,点(x+y,xy)をプロットしていくことでイメ−ジを膨らませます。
  • 【展開1】で実際に点を動かしながら,いくつかの点を用いて変換のイメージをつかませることが重要。
  • 【展開3】では円の内部の点を充足させるために,円の半径を変化させるのが有効でしょう。
  • スクリプトを有効に用いてアニメーションさせることで,イメージ化させる。

■参考ページ