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Chap.1 作用素としてのアプローチ

複素数平面上における図形問題の解法には4つのアプローチが考えられる。

 @ z=x+yi とみて、ガウス平面での論点をデカルト平面に移す。
 A z=(x,y)をベクトルとみなす。
 B zと (共役複素数)を使ってRez,Imzを表す。
 C z=reを図形変換の作用素(operater)と考える。

 それぞれの解法に利点があるが、行列の一次変換の代替として登場した経緯、そして視覚的な面でのインパクトを考慮すれば、作用素としての働きに注目するのが指導としてはもっとも効果的ではないかと思う。

ex) |z|=1のとき、w=(1+i)zの軌跡を求めよ。
 解) |w|=|1+i||z|=
  よって、中心が原点である半径の円

 一般的な解答である。1+iという複素数を葬り去ることによりwの軌跡を導いたわけである。しかし、z → w という図形変換の構図がみえてこなく、解法としては巧(うま)いが美味(うま)くはない。これを
   
とみると、複素数1+iは、図形zの大きさを 倍拡大し、原点の周りに図形を45°回転させる働きをもつ作用素である。

 単位円がググっと拡大し、グルッと回転する。心象風景が活き活きとしてくる。
 この作用素としての複素数を観点に図形変換を以下考察してみる。

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