2円
x2+y2−1=0・・・@, x2+y2−6x−8y+16=0・・・A
の交点を通る直線は何か。
さて,この問題の解答を,@−Aより
6x+8y−17=0・・・(*)
とやってしまうととんでもないことになる。@は中心が原点で,半径r1=1の円,Aは中心(3,4),半径r2=3の円であるから,中心間の距離dは,d=5より,d=5>4=r1+r2となり,2円は交わらない。よって交点を通る直線は存在しないのである。
テクニック偏重の弊害の最たるもので,条件整備の無視も甚だしい。交点を通る直線を要求しておきながらそれが存在しないなんて問題が,入試ででるわけもないが,「交点の存在の確認」が,受験勉強では薄れていって@−Aの計算方法だけが変に精選されて残るのは極めて危険なことであろう。そして,それは,とにかく2円を引いてしまえばそれらしい方程式が答えとしてでてしまうことの問題でもある。では,この(*)の方程式は何を意味するのだろう。@,Aの連立方程式の解は虚数解であるから(*)のx,yは虚数ということになる。それがx,yデカルト座標平面上に表現されることがそもそも可笑しい。だから,(*)の直線は虚数の軌跡によって作られる曲線の影のようなものと考えるべきなのであろう。
その影のもつ意味について,少し考察してみよう。