始点の視点を変えて
【問題】三角形ABCにおいて、ABを1:2の比に内分する点をD、ACの中点をEとし、線分CDと線分BEの交点をPとする。CP:PDを求めよ。 |
メネラウス型の問題をベクトルを使って解く場合、始点の設定が重要なポイントとなる。
仮想平面上の原点に始点をとる場合は絶対座標系、頂点の一つにとる場合は相対座標系での解法となるが、どちらも始点を定点とみての考察である。これらの点は、固定された要素であるから、位置ベクトルの扱いも容易であり解法の流れも無理がない。では、これ以外に始点を設定するとしたらどうすればいいだろうか。例えば、線分の分点であるD、Eを考えるならば、これらの点は、動点的な色合いが強いから、始点としての馴染は薄いということになる。ましてや、求点である点Pともなるといわずもながであるが、実はこれ、食わず嫌いだったりもする。固定概念の殻を捨てて禁断の実をかじってみると、意外と美味しかったりする。
さて、そこでちょっとお裾分けをと思った次第。
解)始点をPとすると、
より ……@
より ……A
@−2×Aを計算して (を消去)
ここで、点Pが、線分CD上、線分BE上の点であることを考えると、
……(*) である。
よって、 、
これより、
CP:PD=3:2
BP:PE=4:1
を得る。
さて、この解法では、ベクトルの一次独立性は、間接的にしか関与しない。(*)の式の左辺は、3点P,D,Cが1直線上にあることから直線CD上の動点である点P1の位置ベクトルを表し、同様に、右辺は直線BE上の位置ベクトルP2を表している。そして両辺が等しいことから、2点P1,P2は2直線の共点である点Pに一致するのである。
このように、求点Pを始点と考えれば、点Pの位置ベクトルは、となるわけであるから、点Pが線分の中心(平均)になるように線分の比を配すればよいことになる。そこで、このことを利用して次に分点について考えてみよう。