"わかる数学"への工夫は多くの人々の研究交流によって発展させることができる。個人の工夫・研究は多くの仲間の中で発表され,検討され,批判や助言や協力を得て更に進化されてゆく。その為には知恵を出し合う場としての研究会も必要であり,そこでの発表内容,研究協議の内容等が集積され,蓄積され更には公開されることが必要である。数学教育は一国の科学技術水準を高めてゆく上で大きな役割をになうべきものであり,また国の文化水準向上のためにも寄与し得るものであると思う。国の産業技術水準は,その国の生活水準にもつながるものであるが,大きな目で見れば数学教育は産業技術水準の高度化に向けて重要な役割を果たしていることがわかる。
今,日本の産業の中で,自国を豊かにさせ更に他国をも豊かにするという輸出産業が育ちつつあるという。これがうまくゆけば日本は自国を助け他国を助ける超産業技術立国となる道が開かれつつあるという。もしも,このことが可能となるならば私共はエコノミック・アニマルからエコノミック・エンジェルへと変身してゆくことができるであろう。そして数学教育は微小であっても,この大きな流れに確実に寄与しつつあるのだといえる。