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〜指数関数導入の工夫〜

札幌東高等学校  大 山  斉

(例1)バクテリアはある一定の条件のもとでは,一定時間にa分裂する。(1個のバクテリアがa個に分裂するという意味である)。つまり単位時間毎に何倍かずつになっていくことをくり返す。

(例2)放射性元素の原子の個数は時間が経過すると共に減少していく。1秒たてば前の1/aとなるという実験法則がある。

(例3)ガラスのような透明な媒質を通る光は,この媒質に少しずつ吸収されていく。従って媒質の中を進めば進む程そこを通る光の量は吸収され続け次第に減少してゆく。
実験法則によるとある媒質を通る光で,光に垂直な平面を通る光は単位距離進むごとに光の量は1/b倍となってゆく。

 図のように直方体でできている媒質があり光がこの中を通りぬけてゆくとする。この図には書いていないが,この媒質の周囲は一切光を通さない物質で固められていて,A0000面に垂直な光はこの直方体の中だけを通ってゆくことができるようになっている。光はこの内部を通りながらこの媒質に少しずつ吸収されてA0000面を通る光の量は次第に減少し,A1111面を通るときはA0000面を通るときの光の量の1/bになっている(1/b=aとする)。

 今媒質内を1m進むごとにa倍になるとする。

 光は1m進むとa倍になるのだから,2m進むとa倍の更にa倍つまりa2倍となり,3m進むとa3倍となる。以下同様に考えてゆけばよい。ところで光はA0000面を通ってから1m進んでA1111面を通ることになるのだが,1m進んだところで急にa倍になるということではなく少しでも進んでゆけば前より光の量は減少し,進むたびごとに吸収されて1m進んだ時点でa倍になっていたということなのである。従ってA0000面より1.5m進んだ面を通る光の量はA0000面を通り抜ける光の量の何倍かになっている筈である。ここで光が1m進むとa1倍,2m進むとa2倍,3m進むとa3倍・・・となってゆくことから,1.5m進んだ場合はa1.5倍になっていると考えることにするのである。このa1.5倍とは実際に何倍くらいになるのかということはあとでゆっくりと考えることにして,とにかく光が1.5m進んだならばa1.5倍になるというように考えてゆこうということなのである。

(問)次のところでは0のところの光の量の何倍の光が通り抜けているか。

 今目盛がxの位置を通る光の量をIxと表わすことにすれば
   I1=aI0, I2=aI1=a20, I3=a30, ・・・
であるが,xが整数でない場合でもI5/2=a5/20等というように表わすことができる。

 Oの位置から右にxm進んだとき,Axxxxを通る光の量はA0000を通る光のy倍になっていたとすれば,Ix=yI0でありIx=ax0であるから,y=axである。(今後簡単に表現するために面A0000を通る光とか,面Axxxxを通る光というかわりに目盛Oを通る光,目盛xを通る光という表現を用いることにする。)

 この場合xが負の数であってもかまわない。目盛Oの位置から左に1m離れた位置は−1の位置,左に2m離れた位置は目盛−2の位置等と呼べばよく,
   I-1=a-10, I-2=a-20,・・・, I-x=a-x0
となる。

 特にOの位置ではOの位置より零m進んだ位置と考えればよいからそこを通る光についてはI0=a00であり,I0=I0は自明であるから 0=1 となる。

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