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1 はじめに

 4年前の本研究会で「折り紙の特徴は対称性にありますが、その特性を使うことによって、折り線を一本引く中にも様々な数理がある」ことを、いくつかの実例を示して発表し、折り紙を素材とする幾何教育実践の可能性について考察した。今回はその続編であるが、具体的な実践例をいくつか挙げてみることにします。(ここでの折り紙による作図は定規とコンパスで可能な範囲とします)

1.1 作図(折り方)の基本

  1. 線分の垂直二等分線(2点A、Bを合わせて折る)[図(a)]
  2. 角の二等分線(線分AB、APを合わせて折る)[図(b)]
  3. 任意の点から線分に垂線を引く(折り線が点Pを通るように点Aを線分ABのせて折る)[図(c)]
  4. 2点を通る直線を引く(2点P,Qを摘まんで折る)[図(d)]

1.2 三角形の角の二等分線と比

三角形ABCの頂角∠Cまたはその外角の二等分線AF(折り紙的証明)

 2等分線CFを折り、次に頂点Cが点Fに重なるように折ります。[図(e)](外角についても同様)
 すると、図(f),(g) において、四角形CDFEは菱形になり、FE//BC,FD?//AC$であることが分かります。
 また、このことから△AFE∽△FBD∽△{ABC}であり、FE=FDに注意すると
   AF:FB=FE:BD=FD:BD=AC:BC  ただし、図(g)ではAC≠BC

1.3 対称移動

入試問題より(1)

x-y平面上の3点A(0,3),B(2,0),C(4,2) を頂点とする三角形(右図参照)について、次の(1),(2) に答えよ。

  1. ある直線に沿ってこの三角形を2つに折ったところ、点Cが点Aにぴたりと重なった(点Aは動かないように折った)。このとき、
  2. この直線の方程式を求めよ。
  3. このとき、点Bが移った点の座標を求めよ。

神戸女子大 2001

 折ったときに重なる2点A,C は、この直線を折り目として線対称である。

原点を通る直線lに関する対称移動

 原点を通り、x軸の正の向きとなす角がθである直線に関する対称移動はA(x,y),B(x',y') として
   
であり、m=tanθとすると
   
と表される。
y=mx+nで表される直線lに関する対称移動

   
と表される。

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