はじめに −3次元空間のイメージ化
 3次元空間における図形をイメージ化することは,とても難しいことだといえます。簡単な3次元図形の展開図や切断面などは既に小学校のカリキュラムの中に現れますが,とても板書だけでは理解し得るものではありません。

 しかし,コンピュータを用いることによって,そうしたイメージしにくい3次元空間の世界をより身近なものへと私達を導いてくれます。

 以前は3次元グラフィックスのソフトといえば高価なもの,と相場は決まっていました。授業で使う分にはそれほど多くの機能を必要とするわけでもなく,手軽に簡単な図形をイメージ化させることができれば事は足ります。

 今回取り上げるMathematicaは大変優れたソフトですが,1本購入するにも数万円かかってしまいます。その点,VRML(Virtual Rearity Modeling Language)は,テキストで記述するだけで3次元図形を作成し,更にマウスで移動させたり,回転させたりすることができます。しかし,Mathematicaのように多くの機能を有しているわけではなく,数学教育的な観点から見た場合は,あくまでイメージ的(仮想現実的)なものでしかないのも事実です。

 このレポートではMathematica,VRMLそれぞれを数学教育的な側面から考察すると同時に,Mathematicaで作成した図形をVRMLの図形へと変換するPackageについて触れてみたいと思います。