科目「数学C」の性格と取り扱いについて(私見)


1.科目の目標

 新学習指導要領において「数学C」の目標は次のように示されている。

「応用数理の観点からコンピュータを活用して、行列と線形計算、いろいろな曲線、数値計算又は統計処理について理解させ、知識の修得と技能の習熟を図り、事象を数理的に考察し処理する能力を伸ばす。」
 いわゆる新カリの3本柱の1つの「情報化」を積極的に学習の中に活かしていくことを意図しているわけである。コンピュータによる高速な数値計算、大量の」データ処理、視覚的なコンピュータグラフィックス等を通して、コンピュータに対する理解や能力を培い、情報化社会に適応する能力を養っていこうというものである。

 また、昨今「理型離れ」が叫ばれている中、数学に対する興味・関心を積極的に生徒に持たせるための1つの手段とも考えられる。


2.科目の構成

 「数学C」は4つの内容で構成されている。
   (1)行列と線形演算   (2)いろいろな曲線   (3)数値計算   (4)統計処理
 科目の履修としては、「数学T」を履修した後に選択して行う科目の1つであって、標準単位数は2となっている。この科目も「数学A」「数学B」と同様に4単位相当の内容で構成されており、生徒の実態や単位数に応じて履修する内容を適宣選択することになっている。

 実際の運用面においては、カリキュラムとして2単位を3年次に選択履修させることになる。(1)の「行列」はどの学校も扱うことになるが、あと1単位は(2)の「いろいろな曲線」を取り扱わざるを得ないようである。または、(3)の「数値計算」を扱う場合も考えられるが、問題はどちらの場合においてもコンピュータを扱っている部分をどうのようにするかということであろう。

 「数学A」「数学B」においては4単位の中の2単位分として、コンピュータに関する単元を取り扱っていない学校が多いことが調査ではっきりしている。「数学A」に「数と式」の単元が半ば必須の様に入り込んでいるため、本来の意図とは逆に、選択の幅を狭めてしまっていることが大きな要因として考えられる。そのつけが「数学C」に及び、残り1単位分の選択にこまる事になってしまった。


3.「数学C」におけるコンピュータの取り扱い

 実際にコンピュータを用いるかはどうかはさておき、コンピュータで何を教えるのかを考えてみる。基本にあるのは、数学の指導や学習のための、いわゆる「数学の理解」のためのコンピュータ利用であることをきちんと押さえなくてはならない。基本的な概念の確認、視覚的な理解等を通して、数学に対する興味・関心を換気し、自ら考え工夫する態度を養っていこうということである。

 しかし、これを具体化しようとしたとき、実際に幾つかの点で困難な点がある。まず、言語(プログラミング)やアルゴリズムの取り扱いをどうするかということである。もし、真正面から受けとめ指導するとしたら、現状ではかなり困難である。中学校の技術・家庭科の「情報基礎」の領域は必修となっていないため、コンピュータに触れるのが初めてという生徒も多い中では、まずキーボードの説明から始めなくてはならない。使用する言語も構造化されたものや再帰の出来るものでなくては意味が無い。ましてやプログラム出来る教員も少なく、更に入試に出ないのであれば必要性がないと考えるのもいたしかたない。

 つまり、主旨は理解できたとしても実際には取り扱わない、というのが現状である。


4.「数学C」における「いろいろな曲線」の取り扱い

 結局、「行列」とあと1単位分は何を選択するかというと、コンピュータを大きく取り扱っている「数値計算」を外し、「いろいろな曲線」を扱うことになる。それも、今までの「2次曲線」の部分を主に取り扱い、コンピュータの部分はカット、というのが普通であろう(中には「数学C」を名目上おいて内容を別に取り扱う、ということも考えられる)。または、「行列」「2次曲線」を早めにきりあげ、受験体制に入る、というパターンである(これが最も多そうである)。

 しかし、主旨を少しでも活かそうと考えた場合、授業の1時間から数時間分くらいの手立ては可能と考えられる。プログラムという難点を取りさってしまえば良いのである。今回まとめたものも、自らの教材研究を兼ねながら、Javaを用いて作成した。以前「関数ラボ」を用いて作成したものをJavaで焼き変えた。。特に図形的意味を重点的に扱い、また曲線の生成過程などの興味深さを出したかった。また、私の方針である“シミュレート型”として、係数を変化させることによる曲線の変化というものを出したかった。

 生徒には2次曲線の最後の時間に、こうした曲線もいろいろとあるよ、という形で提示しただけであるが、たったわずかな時間のためではあるが、「数学離れ」を少しでも食い止めることが出来ればと考える。

<参考資料:「数学Aにおけるコンピュータの基礎 新課程におけるコンピュータ(私見)