1.2次方程式の虚数解のイメージ化
一般に実係数の2次方程式 f(x)=0の実数解は,xy平面上におけるy=f(x) のグラフとx軸との共有点のx座標である。しかし,虚数解のときのその実態はわかりにくい。虚数解を実数解のようにイメージ化する方法を考えてみよう。
具体的に次の関数を例にとって考えてみる。
y=x2−2x+5・・・@
y=(x−1)2+4 より,xが実数のときグラフはfig_1_1のようになる。
このとき,方程式
x2−2x+5=0・・・A
は実数解を持たない。解はx=1±2i という虚数解になる。
それではxを虚数解と考えx=u+vi (u,v は実数) としてみると,
y=(u+vi)2−2(u+vi)+5
=u2+2uvi−v2−2u−2vi+5
=(u2−v2−2u+5)+2v(u−1)i・・・B
yが実数になる場合を考えると,
2v(u−1)=0 ∴ v=0 または u=1・・・C
このとき,yの実数部分 Real y は,
Real y=u2−v2−2u+5・・・D
となる。
ここまでを図示してみる。x=u+vi は u,vを両座標軸にとった平面(複素平面)上の点 (u,v) で表わされる。
そして,その原点Oでこの平面に垂直に実平面を立てた空間を考え,その3次元空間で y=f(x)=f(u,v) のグラフを考えれば良いことになる。 (fig_1_2参照)
DのReal y=u2−v2−2u+5 のグラフはfig_1_3のようになる。
ここで,Cの2つの場合を考えてみよう。
(1) v=0のとき (xが実数のとき)
Dより Real y=u2−2u+5 となり,x=u+vi=u だから
Real y=u2−2u+5= x2−2x+5
これはfig_1_1で示されているものと同じ実数解を持つ場合である。
このことを別な角度からイメージ化すると次のようになる。先ほどの3次元空間上の
曲面 Real y=u2−v2−2u+5 と平面v=0
の交線を考える。この交線こそuy平面 (xy平面)上の放物線である。(fig_1_4参照)
(2) u=1のとき
Dより Real y=u2−v2−2u+5=1−v2−2+5=−v2+4
ここでy=0となるのは,−v2+4=0より v=±2
すなわちy=0となる点はuv平面との交点 (1,±2) ,つまりx=1±2i で,これがAの方程式
x2−2x+5=0
の解となる。
このことをまた3次元空間上のイメージとして捕らえてみよう。今度は次の2つの図形の交線と考えられる。
曲面 Real y=u2−v2−2u+5 と平面 u=1
この交線(放物線)と平面 y=0の交点が (1,±2,0) となる。 (fig_1_5参照)