はじめに

 情報化時代の到来は急速にテンポをはやめながら、我々の日常生活にも浸透しつつある。通信技術・情報技術の発展は既に世の中においては市民権を確立し、大きな変化を人類にもたらそうとしている。 こうした新たな社会変化は、農業革命・産業革命に続く「第3の革命」とまで呼ばれるようになってきた。東京大学 月尾嘉男は「これまでの情報化ブームと同じでいずれ熱さめるとの見方が有る。しかし、今度の世界規模のマルチメディア化は加速こそすれ、引き返し不可である」と述べている。

 そうした流れは教育界へも普及し、もはや避けて通ることのできない状態にまでなってきている。Webページを公開していなくても、何らかの形でインターネットに接続している学校は全国規模で2,000校に到達しているという。そして'97年度中には3000校に到達するといわれている。道内においても学校として公認されている教師個人での運用を含めると、30校以上の高等学校(こねっとプラン9校含む)がインターネットを運用している。

 更に今年度から付属情報処理センターによって、「情報教育ネットワーク形成推進事業」がスタートし、試行校として既に10校が予算配分された。本校においてもそのうちの一校として選定され、校内イントラネットを用いたシステム設定がなされた。この事業も来年度は更に規模を大きく拡大し展開されようとしている。2〜3年後には道内全ての学校にインターネットが接続されるものと考えられる。

 明らかにこうした情報化の波は止めようとしても、止められるものではない。以前教育界を席捲しようとした?CAIとは違い、より多くの、そしてより強力な可能性を秘めていることは間違いない。

 しかし、こうしたネットワーク環境の拡大に伴うユーザー層の広範な広がりは、一部のプロジェクト主導だけでは収まりきれない様々なニーズを発生させているのではないだろうか。特に学校教育という観点で考えた場合、共同学習型利用(コミュニケーション・コラボレーション)、教材型学習利用(デジタル・リソース)、電子会議型利用(ネットワーク・カンファレンス)など様々な利用方法が考えられ、また実践され初めている。反面、インターネットにおける“光と影”の部分についても議論されることが多くなってきている。こうした面を含め、インターネットは試行の段階から実践の段階へと推移しつつある。

 北数教高校部会の研究部である「数学教育実践研究会」(数実研)が今年で4年目を迎えた。今年1月の高教研でその研究の一部をCD-ROMで配布、更に4月には全道の高校に収録の抜粋を冊子として配布した。6月に旭川凌雲高校とテレビ会議のデモンストレーションを実施。そして、7月に待望のホームページ「数学のいずみ」を開設した。「数学教育」という観点に絞り、全道・全国の教員、そして数学に関心のある人たちと共に連携していく、こうした試みはますますこれから重要となっていくのではないであろうか。

 5月に行われた北数教の全道常任幹事会・代議員会では、地方の研究組織の活性化と研究組織への支援ということが重点事項として示された。このことはまさに、これからの方向性を指し示しているといえるのではないだろうか。

 このレポートでは、数実研の提供するネットワーク型データベース「数学のいずみ」を公開にいたった様々な状況を検証しながら、内容を紹介していきたいと考える。