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1.ネットを用いて"教室での数学"は変わるのか

1_1.3年目を迎えた「数学のいずみ」  北数教高校部会研究部のホームページ「ネットワーク型教材データベース 数学のいずみ」も開設してから早いもので3年目を迎えた.すでに34回('99.8現在)の更新を数え,収録レポート数も160本以上になったと思われる.1つのレポートの中にも数多くの情報が入っているため,全体的にはかなりのデータ量といえる.

 いくつかのメディア等にも紹介され,また数学関係の他サイトからは多数リンクが張られるようにもなった.

 このホームページの他と違う大きな特徴は,個人のページではなく多くの先生方が持ちよったレポートで構成されているという点である.ネットワークが急速に進む中で数学教育における情報は依然として不足している.その点でもこのページの持つ役割は大きいといえるのではなかろうか.


「New 教育とコンピュータ3月号」より

1_2.インターネット人口1,500万人

 現在,インターネットの普及は予想通り急速に進んできている.「インターネット白書'99」(インプレス)によると,インターネット人口は前年比49.4%増加して1,508万人になり,世帯普及率も12.9%となった.特に自宅からの利用者は151.8%も増加して,勤務先・学校からの伸び率15.6%を圧倒しているのが目に付く. 1_3.学校現場における情報教育  では学校現場ではどうであろうか.北海道におけるインターネットの整備は当初12年度までの計画が1年延長されたが,2〜3年後には全ての学校にインターネットが整備されることになる.

 更に12年度から6年間で小中高校にLANを整備し,将来的には教室からもインターネットに接続する計画を進めている.環境整備は着々と進んでいるといえる.

公立学校におけるコンピュータの設置状況,教員の実態,インターネットの接続状況
(平成10年3月31日現在)

  学校数 コンピュータ 教 員 インターネット
接続校
(割合)
設置校
(設置率)
平均
設置台数
教員数 操作できる
(割合)
指導できる
(割合)
北海道 286 286
(100.0%)
50.8 11,282 6,522
(57.8%)
2,667
(23.6%)
49
(17.1%)
全国 4,162 4,162
(100.0%)
71.1 208,875 129,986
(62.2%)
51,048
(24.4%)
1,557
(37.4%)

道立教育研究所付属情報処理センター「学校におけるネットワーク環境の活用に関する研究」より
1_4.依然として進む過度な期待  しかしインターネットは本当に教育に根づくのであろうか.'97年9月に発表した「ネットワーク型教材データベース 数学のいずみ」の中で,ネットの将来について私は次のように述べた.
 「『脱画一教育』『個性重視の教育』をうたってみても、無理に授業の中に持ち込んでもうまくいかないであろう.何故なら、一斉授業の中ではネットの持つそうした特性、つまり「主体性や創造性を育む教育」は生かしづらいからである」
 インターネットは"個人"での学習にとっては非常に大きな威力を発揮するが,"一斉学習"という枠の中ではその特徴を生かしづらいのではなかろうか.その考えは今も変わってはいない.これまでのインターネット教育を先駆してきた100校プロジェクトやこねっとプランなどにおいても,数学教育の中ではこれといった成果が現れてはいない.それはごく自然のことと思われる.始めにインターネットありきでは本質が見えてこないのではなかろうか.あくまでも"主役"は数学であって,コンピュータやインターネットは道具でしかありえないのであるから.

 次期カリキュラムに新設される「情報」.ややもすれば技術面だけを学習し,"コンピュータ"を用いた学習には「数学的な見方・考え方」など微塵も入らなくなることもあり得る.今こそ「道具」として活用すべきコンピュータ・インターネットを考えることが大事なのではなかろうか.

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