十進BASICを用いたプログラミングの指導

〜新教科「情報」を見据えて〜

札幌稲北高校 早苗雅史

⇒ プレゼンテーション用資料(FLASH版,10Basic.swf,336LB)

  1. はじめに

     いよいよ平成15年度から新教科「情報」が登場する.情報化時代が教育の分野にも待ったなしの状態で押し寄せてくることになる.
     残念ながら新課程では教科「数学」からは実質的に姿を消すことになる.しかし,私自身としては数学的な視点や考え方を「情報」の中においても育んでいきたいと考える.
     さて,今回のこのテキストを用いた実践は,そんな新教科「情報」を意識しながらのものである.プログラミングは「情報B」の中で扱われ,多くの学校では敬遠するところが多いと思われるが,以前の実践

    ・『数学Aにおける「コンピュータの基礎」』
    http://www.nikonet.or.jp/spring/mathA/mathA_0.htm
    ・『10進BASICで描くグラフィックス』
    http://www.nikonet.or.jp/spring/10b_grp/10b_grp.htm

    の経験を活かして,よりスムーズな実践ができるよう配慮したつもりである.今回は特にメールでの課題提出や評価問題等においても工夫した.

  2. テキストの内容・配当時間

     今回の実践はすべてオリジナルのテキストをもとに行われた.テキストは次のページで参照できる.

    ・『これだけで大丈夫 「情報」のためのプログラミング 10BASIC編』
    http://www.nikonet.or.jp/spring/sanae/program/10Basic/10Basic.htm

     計12回分のテキストでその内容は次のようなものである.

    = プログラミングの基礎 =
    【第1回】変数と式 【第2回】代入文・入力文 【第3回】繰り返し処理
    【第4回】条件判断 【第5回】配列変数
    = アルゴリズムの基礎 =
    【第6回】最大・最小値,平均値 【第7回】並べ替え(ソート) 【第8回】検索
    = グラフィックスの基礎 =
    【第9回】グラフィックスの基礎 【第10回】曲線の描画
    【第11回】図形の変換 【第12回】演習:図形の描画

     また,付録として次のものを配布した.

    = APPENDIX =
    ☆10Basicプログラミングの流れ ☆よく用いられる命令コマンド
    ☆よく用いられるグラフィックスコマンド ☆よく用いられるステートメント

     今回の実践は3年生の「数学C」2単位,2クラスで行った。実施時期は'01年4月〜6月で,配当時間は次の通りである.

    テキスト第1回〜第12回13時間
    練習問題2時間
    単元テスト1時間
    合計16時間

  3. 利用環境・使用ソフト

     ハード面での利用環境については,次の通りである.

     使用ソフトは次の通りである.

  4. 事前の準備

     授業をはじめるにあたっての事前の準備として,以下のことを行った.

  5. 授業の進め方

     授業はテキストをもとに行われた.授業の流れとしては主として次のような形である.

    1. 例題の説明
      最初にテキストの例題を教師が説明する.
      必要に応じて,黒板での説明,ディスプレイ上での説明(一斉送信)を与える.
      10Basicを用いての説明やブラウザ上での確認などを行う.
    2. 課題の演習
      説明を受けた後,生徒は例題に沿った類題問題を行う.
      教師は必要に応じて期間巡視しながら,生徒の質問に答える.
    3. 課題の提出
      課外を終えた生徒はソースプログラムを自分のフォルダに保存する.
      その後,メールで作成したファイルを添付して教師側の指定したアドレスまで送付する.
      教師は送られてきた課題を確認し,黒板の生徒番号にチェックする

  6. 指導上の工夫点

     実際の授業を運営する上で工夫した点を次にあげる.

    ○テキストについて

    ○指導について

  7. 授業の様子

     テキストの一部を割愛したところもあったが,ほぼ予定通り行われた.授業の様子としては次のような感じであった.

     
    = 授業風景 =

      
    = 生徒作品 =

  8. 授業全体の反省点

     反省点としては次の点があげられる.

    ○環境的な側面

    ○内容的な側面

  9. 生徒の感想

     詳細な資料は生徒から授業についてのアンケート結果を『これだけで大丈夫 「情報」のためのプログラミング 10BASIC編』の「授業の感想・様子」のページにまとめてあるのでそちらをご覧いただきたい.特に顕著な点を以下に挙げる.

     また,生徒の生の声をいくつか挙げておく.

  10. 評価問題について

     プログラミングの基礎やアルゴリズムの基礎における問題については,これまでも多く扱ってきた.現課程に数学においても評価問題としてはある程度定着しているといえる.では,グラフィック関係をどう評価問題に取り入れていったらよいであろうか.新教科「情報」の試作教科書においてもそのあたりがはっきりしていない感じもある.
     実は,新教科「情報」における「図形と画像の処理」「コンピュータデザインの基礎」といったコンピュータグラフィックスに関する分野には,様々な数学的要素が盛り込まれていて,CG分野における評価問題としても十分活用できるのである.そうした問題をまとめたのが次のレポートである.

    ・『新教科「情報」CG分野における「数学」』
    http://www.nikonet.or.jp/spring/cg/cg.htm

     今回の評価問題でもデザインと数列,図形の変換などを取りいれた.詳しくは『これだけで大丈夫 「情報」のためのプログラミング 10BASIC編』の「練習問題」のページを参照していただきたい.

  11. 今後の課題

     全体的・構造的な課題として次のような点があげられる.