言語活動の2系列をもとにした数学の文字(式)概念指導への提言および治療−文字(式)への抽象化のSL研究の成果を踏まえて
 
@Author Naoki.Hikita  @Version 1.00;13.Dec.2017
 私もその一員とする大阪のスローラーナー(以下SLと略記)研究の成果をベースとして、言語学との関係からSL達の指導・治療について考察したものです。  昭和50年より継続している大阪でのSL研究では、SL達がすみやかに授業に参加できるように、対処療法ではなく、主として数値 処理により「学習上の仕組み」を探り、その仕組みをもとに生徒の弱点とする概念を明らかにし、指導・治療を行う術を探ってきました。 そのことにより、SL達が授業に自信をもって取り組め、次への一歩を歩めるようになることをねらい取り組んできています。  対象分野は、初期の代数分野からはじまり、図形分野、関数、場合の数・確率分野など様々な分野に取り組み各分野の学習上の仕組みを 調べてきました。その中でも、様々な分野を支える基底となるのは代数分野であり、文字概念の理解であることが明らかになってきました。 そして、高校で数学を学ぶ上で最大の難関となるのは、「数から文字(式)への抽象化」の仕組みであることが明確になってきました。 我々は研究の初期段階で、文字(式)への抽象化について分析を進めてきましたが、結果として次のようなことが確認できております。  数値解析により、数から文字への抽象化の過程において、文字の定数的側面の問題と変数的側面の問題とが異なるグループとして選び出 され、文字の定数的側面と変数的側面の2系列があることが、そして、この2系列が統合、結合また再分離、再結合、再統合を繰り返しな がら文字概念が形成されていく。
 ここでの私の試みは、このことを受け、言語学関係と連関でこの文字概念形成の過程を探りました。



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北海道算数数学教育会高等学校部会研究部