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授業のノート1

<数学史> 1.数の拡張

@学校で習った順番と実際に出てきた順番の違い

(学校で習った順番)
 自然数(小1)→分数(小:高学年)→小数(小:高学年)→負の数(中1)
 →無理数(中3)→複素数(高)
 Q.実際に出てきた順番はどうなのだろうか?
    A.自然数→分数→無理数→負の数→小数

A数の拡張の歴史

  1. 自然数(自然界にあるものの個数)

     →(概念は)人間が生活すると同時に作られた
    Q.なぜ「自然数」は必要だったのか?
    A.自分の所有物(木の実や家畜など)の数を確かめたかったから。
         ↓
    大昔に「数字」のない時期があった
         ↓
    「モノ」を使って記録した
     (例)小石・縄の結び目(所有物との「1対1対応」)
         ↓
    「数字」の誕生
     (例)・ギリシア数字(α,β,γ・・・)
        ・ローマ数字 (T,U,V・・・)
        ・アラビア数字(1,2,3・・・)
        ・漢数字   (一,二,三・・・)
         →「文化の相違」を示している
       ※ 演習プリント参照

  2. 分数

    Q.なぜ「分数」が必要になったのか
    A.「ひもの長さの比べあい」

    _____________
    _________

    「上のひもは下のひもに比べてどれだけ長いのか」
    「長さ」を測る(”単位”をつくる)
         ↓
    「半端」な長さが余る
         ↓
    「半端」を表すために、「分数」が誕生した!

    「分数」=「有比数」;(自然数の)比で表される数
         「有理数」;(自然数で表せるという意味で)道理にかなった数
    →昔の人たちは「世の中のすべての数は、整数の比(分数)で表せる」ことを世の中の「道理」としていた。
        (B.C.20世紀頃)エジプト「リンド・パピルス」の記録→数字の記録
      → どうしてこんな表し方をするのか?

    <1つの予測>
    2つの“モノ”を5人でわける(2/5)
      *昔の人は単位分数(分子が1)を使っていた
    (1人あたり)1/3×1/5=1/15  ∴ 

  3. 無理数

    ・「ピタゴラス(B.C.582-493頃)の定理 」(三平方の定理)

    (発見の方法)


    何とか「有理数」で表そうとした
         ↓”表せない”=”道理に合わない”
    「無理数」の誕生!

     この後、「1カッチン」(「かつあき」という名前の生徒のニックネーム)という長さの単位を創って、√2カッチンや√3カッチンなど、無理数で表される長さの作図を出題した。

  4. 負の数

    「(黒字)⇔ (赤字)」の関係
    ・Kさん(士別のお金持ち)
     9,600,000(預金)−700,000(中古のランクル)=8,900,000(財産)
      ∴ 「お金が余っている」→財産は「黒字」

    ・Wさん(札幌の借金王)
      0(預金)   −3,200,000(新車のスカG)=−2,500,000(財産)
       ∴ 「お金が足りない」 →財産は「赤字」
    この場合、「−」の符号は、「黒字」とは反対の性質を示している
         「0」の符号は、「黒字」と「赤字」の境目を示している。

    はっきりと「負」の概念ができたのは、12C頃
    ・インドの数学者の活躍
    (例)2次方程式の解法
    Q.面積が81の正方形があります。1辺の長さは?
    A.1辺の長さをχとすると
      χ=81  ∴ χ=9

     答えとなるものは、「正」になるものしか存在しなかった
          ↓
     バスカラ(12C頃)→2次方程式の解の公式をつくった!
     「2次方程式には、必ず2つの解が存在する」;「負」の数の認識

  5. 小数(16C頃)

    ステヴィン(ベルギー):会計将校(会計・利子の計算)
    ・利子の計算
     「分数」による計算
     数によっては「割り切りづらい」=「扱いにくい」
         ↓
     「10^rを分母とした分数」による計算
     割ったものを比較するとき、分母が10^rで統一されているので、前よりは比べやすい

    ◎241/1000と32641/100000の大小?
     →パッと見ただけでは区別できない
          ↓小数の誕生
    (例)
         ⇒約30年後(英・独)
             (ステヴィン)


付.n進法

  1. 2進法

    (例)パソコン
    Q.パソコンはなぜ2進法なのか
    A.「0」と「1」の世界=「OFF」と「ON」の世界
          ↓
    機械にとって「区別がつきやすい」=「処理速度のup」

    ※2進法的な数:未開人たちの数詞
    トレス海峡(パプア・ニューギニアの南)の未開人
      1  ネタット
      2  ネイス
      3  ネイス−ネタット   4  ネイス−ネイス
    他の未開人
      1  ウラバン
      2  オコサ
      3  オコサ−ウラバン
      4  オコサ−オコサ
      5  オコサ−オコサ−ウラバン
      6  オコサ−オコサ−オコサ

    Q.未開人の数はわれわれに比べ、なぜ少ないのか
    A.大きい数を区別する必要がなかったから

    Q.トレス海峡の未開人の数の規則に従って、次の数を表せ。
      (1)5 (2)10 (3)13
      →大きい数を表すには不便!

  2. 5進法

     ・・・10
    ローマ数字TUVWXY ]
    マヤ文明の数字・・・・・・・・・ 

    Q.なぜ5進法ができたのか
    A. 1)「大きい数」を表すため
       2)手・足の指が5本1セットだから(指折りかぞえる)

  3. 12進法・60進法

    Q.なぜ12進法が出てきたのか
    A.約数が多いから=割り算(等分)しやすいから
     (例)12進法が見られる単位
      ・1ダース=12本
      ・1年=12ヶ月
      ・1まわり=12年
      ※ 英語で12を「onety-two」といわないのは、12進法が昔に使われていた名残といわれている。

    Q.なぜ60進法が出てきたのか
    A.円1周を「1年=360日」とした→「1周=360度」
          ↓
      円の半径で円周を区切っていくと6等分の扇形になった
        →1等分の中心角=60度

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