数学史を取り入れた指導例

〇複素数の認知について

「数学B」の複素数の単元の高次方程式の解法を終了した段階で,複素数の誕生の歴史について触れる。複素数が発見され、その概念が確立するまでの過程に触れることにより,生徒は新たな視点で複素数を理解することができる。

授業の流れ補 足 ・ 説 明
カルダノについて ・カルダノ(イタリア:1501-1576)
・著書 『アルス・マグナ(大技法),1545年』
 (3次方程式の解の公式について)
「フェロが30年前に発見し、弟子のフィオーレ(フロリド)に教え,フィオーレがタルタリア(フォンタナ)と3次方程 式をめぐる数学試合をした際(1535年)に,タルタリアは自身で発見し,その後,私の切望に応じて,それを証明を添えな いで教えてくれた。」
カルダノの公式 x3=px+q(p>0,q>0)の解は,
 
3次方程式 x3=15x+4を解く
@ 因数定理を用いて
A カルダノの公式を用いて
・解 x=4,
・(2+i)3=2+11i,(2-i)3=2-11i
 
複素数の認知
 カルダノの公式を用いて解くと,解法の途中に複素数が現れるのに,解そのものが実数になる。
・カルダノは大変驚き,このことをどう意味付けてよいか当惑したという。3次方程式では,複素数の存在を認めない限り, 実数の解さえ計算できないという矛盾に直面したのである。
連立方程式の解
 
・当時の代数方程式では解としては正の実数解のみを考えていた。
・カルダノは「10をその積が40になる2つの数へ分解することは不可能である」としながら,形式的な解として,を示した。