「2つの線分の交点の位置ベクトルや内分比を求める裏技(教師用)」のレポートを読んで

北海道羽幌高等学校 田 中 拓 己

 数学のいずみHPの実践記録・レポートに載っている、札幌東高校 佐藤 清先生のレポート「2つの線分の交点の位置ベクトルや内分比を求める裏技(教師用)」を読んで、形はちがう式ですがについて、私も同じような使い方をしています。こんな見方はどうでしょうか。

 1直線上にない3点A,B,Cの位置ベクトルをそれぞれとするとき、次のことを証明せよ。
(1) 点Pが、A,B,Cの定める平面上にあるために必要十分な条件は、Pの位置ベクトルが次の形に書かれることである。
    ,l+m+n=1
(2) 上の式でl,m,nがすべて正ならば、Pは△ABCの内部にある。

(証明)
(1) Pを平面ABC上の点とすると
    ・・・・・ @
と書ける。これを位置ベクトルで表すと
    ・・・・・ A
    ・・・・・ B
よって、l=1−m−nとおくと
   ,l+m+n=1 ・・・・・C
 逆に、Cが成り立てば、B,A,@が導かれるから、Pは平面ABC上にある。

(2)l>0 ,m>0,n>0のとき、
   
とおくと、0<m<1だから、Mは辺AB上(端は除く)の点となる。そして、@から
    ・・・・・ D
よって、直線MPはACと平行である。これと辺BCとの交点をQとすると
MQ:AC=MB:AB=(1−m):1から
    ・・・・・ E
D,Eで、1−m=l+n>n>0 だから、は同方向で、MP<MQ
したがって、Pは線分MQ上(端は除く)にあるから、△ABCの内部にある。

(証明終わり)
チャート式 代数・幾何 より

 このとき、注目したいのがと △ABC の辺などの内分比の関係です。図のようになっていて、(@),(A),(B)の特徴があります。

  1. CD:DB=m:n, BF:FA=l:m, AE:EC=n:lといったように、l,m,nを繰り返す。

  2. AD,BE,CFの交点Pについて、AD上の点Pとして着目したとき、
       AP:PD=(m+n):l
    となっていて、m+nはAF+AE,lはBF(CE)に対応できる。
    BE,CFについても同様の見方をする。

  3. の係数は、頂点A()に対する辺BCに関する比に出てこない文字l,も同様にm,nを対応する。

 (@),(A),(B)を使って、佐藤先生の[問題]を考えてみます。

[問題]
 三角形ABCにおいて、とし、辺AB,ACの内分点D,Eを次のように定める。
   AD:DB=a:b, AE:EC=c:d
 このとき、DCとBEの交点をP、APとBCの交点をQとする。
(1) BQ:QCの比を求めよ。
(2) で表せ。

[作図]
 (@)よりBDとCEは同じ値で対応させればよいので、bとdの最小公倍数bdに置きかえます。このとき、AD,AEはad,bcが対応し(図1)、bd,ad,bcを繰り返すので、BQ,QCにbc,adを対応させる(図2)。このとき、AP,PQは(A)より、ad+bc,bdが対応。

(1) 図2より BQ:QC=bc:ad
(2) 図3より計算しても良いが、(B)を使うと
   

以上


問題1 △ABCにおいて線分ABを2:1に内分する点をMとし、線分ACを3:2に内分する点をNとする。また、2つの線分CMとBNとの交点をPとし、直線APと辺BCとの交点をQとする。このとき
(1)ベクトルで表せ。
(2)ベクトルで表せ。
(3)面積の比 △ABP:△BCP:△CAP を求めよ。


問題2 平面上に△ABCと点Pがありである。このとき△PAB、△PBC、△PCA の面積比を求めよ。