第25回数実研レポート

札幌稲雲高等学校
大河内 佳浩

もう一歩,生徒へのアプローチを深めて


1.はじめに

 前回の数実研でのレポート(「生徒にデータを返す方法とその実践〜自己学習力を高めるための取り組み〜」)に引き続き,今年度は第2学年で昨年同様の取り組み(日常の授業で,「達成目標」,「Home Study」,「確認小テスト」の実施.)を行っている.

 ただし,昨年とまったく同様でも進歩がなく,昨年で全てが完成したわけでもないので,昨年の反省を踏まえて,今年度は更にもう一歩生徒へのアプローチを深めてみようと考え取り組みを行っているところである.


2.昨年の反省点

  昨年の取り組みとしては,生徒に対してデータを返す,この点については生徒の評判もよく,自分としても満足している.

 しかし,正答率や得点グラフを生徒に返却しても,それだけで生徒の学力が向上するかというと,そうでもない.やはり,正解を示し,自分が間違えた個所を自らがしっかりと復習しなければ学力の向上にはつながらない.

 昨年までは,「Home Study」,「確認小テスト」の解答は,各教室に1枚掲示していただけであった.それは,@各生徒の主体性に期待してと,A授業の中で解答・解説をする時間がないこと,B解答を印刷して配ると,未提出者がその解答を写して提出するかもしれないという危惧からである.

 多くの生徒の実態は,得点が何点であったか?というところに関心が強く,どうして間違えたのか?どこが間違っていたのか?という点に関心を持つ生徒は極めて少なかった.それはなぜか?といえば,「Home Study」や「確認小テスト」を返却されたその場で,正答と突き合わせる習慣,あるいは自ら正答を確認したくても確認できない環境にあったからと考える.

 つまり,「Home Study」や「確認小テスト」を返却されたときに,手元に正答があれば,指導の仕方一つで生徒はすぐに間違いを訂正できるのではないか?と考えた.


3.今年度の新たな取り組み

 そこで今年度は,提出された「Home Study」や実施した「確認小テスト」の裏側に正解を印刷して生徒に返却する試みを始めた.

 「確認小テスト」は,きちんと回収できるので,裏面に正解を印刷することは大きな負担とはならないが,「Home Study」は,未提出者や提出が遅れる者が出てくると,1枚とか3枚とかの枚数に対して正解を印刷しなければならない手間が増えるため,実施側の負担増は否めない.

 しかし,この2ヶ月の状況を見ている限り,生徒は今までのように点数だけを気にすることはなく,間違えた個所の見直しをするようになってきているように思われる.

 もちろん,そういった正解を写して遅れて提出する生徒も,1,2名見受けられるが,きちんと「Home Study」の目的を説明し,正解を写したり,人の解答を写しても意味がないことを話しておけば,その点に関してはあまり危惧しなくてもいいのではないかと判断している.

 全般的に,きちんとした解答が手元に届く形は,生徒にも受け入れられ,テスト前の復習にも活用されているようで,今のところ成功していると思われる.


4.資料

【数学U】

Home Study

<HS-12>

◆平面図形と式◆

1.次の円を標準形に変形し,中心と半径を求めなさい.

 (1) x2+y2+1=1


 (2) x2+2x+y2=0


 (3) x2+y2-4x=5


 (4) x2+y2+4x-6y-3=0


 (5) 2x2+2y2-4x+4y-5=0


2.次の円の方程式を求めなさい.

 (1) 中心が (3,4)で,x軸に接する円


 (2) 直線 y=x+5 上に中心があり,原点と点(1,2)を通る円


 (3) x軸,y軸に接して,点(2,1)を通る


 (4) 中心がx軸上にあって,2点(-1,1),(3,5)を通る


 (5) 中心が(4,3)で,y軸と接する




5.補足

 前回のレポートで紹介した数学T・Aの「達成目標」,「Home Study」,「確認小テスト」は自己解答型の圧縮ファイルにして『数学のいずみ』からダウンロードできます。活用していただけるのであれば,ダウンロードして活用してみてください.ファイル名と内容は次の通りです.

 尚,「達成目標」,「Home Study」,「確認小テスト」は一太郎 Ver5..0(MS-DOS)とその数式VAFを用いて作成してあります.

「小テスト」・・・file1.EXE(268KB)
「達成目標」・・・file2.EXE(243KB)
「ホームスタディ」・・・file3.EXE(417KB)