毎週水曜日定期発行 Weekly Mathematics Magazine | 《数学通信》
MAT-18 1992.11.3(Tue) |
★進化の暦★〜人間の歴史など瞬きの時間に等しい=其のW=〜
宇宙誕生が本当に200億年前なのか,それとも150億年前なのか?そんな事はこの際どうでもいい.それこそ,宇宙の時間の流れの中での50億年など微々たる差でしかない.
突然こんな事をプリントにしてみたのは,君達に生きていく事の大切さ,『今』という時間の大切さを少しでもわかってもらいたいからだ.人生80年,そんな中でいったい我々は何をする事が出来るのだろうか?そんな風に考えていくと,人生の重みが増してくると思うのだ.
下の基礎データを見てもらえればわかると思うが,あるいは,T〜Vまでの進化の暦を見てもらえればわかると思うが,人類の歴史などまだまだほんの数秒でしかない.紀元前4000年〜紀元2000年までを考えてもたかが6000年の歴史しかない.6000年など進化の暦の中では,9.1608秒である.10秒にも満たないのである.
逆にみれば,人類はたかだか10秒の中で今日に至る文明を築いたともいえる.だが,だからといって,それが人類を万物の霊長といわしめる理由にはならない.それこそ,人類が自らを万物の霊長と呼ぶのはおごり以外の何物でもない.それこそ,恐竜達が地球上を我が物顔で歩いていたときに,恐竜達に人類ほどのおごりが,智恵があったなら,やっぱり恐竜達は自らを万物の霊長と呼んだだろうか?
人類が進化の最終形態ではない.まだまだ人類は進化を,いや,生物は更に進化をし,人類は淘汰されていくかも知れない.だが,それにはまだまだ数億年,数十億年の歳月が必要である.だが,その頃まで地球があるかどうか?生物が住める,生きていける環境であるかどうか?それはわからない.それはこれからの人類の行いにかかっている.
愚かな殺戮を繰り返し,かけがえのない地球その物までをも殺してしまうのか?それとも,自らのエゴだけを押し通して,環境を破壊し続け,自分達だけでなく,生態系そのものを破壊し,地球上の生物全てを死に追いやるのか?それとも自らのエゴや欲望を捨て去り,地球その物や,生命その物を救うのかは,これからの人間の行いにかかってくる.
それはそれとして,人類の歴史がうたかたの夢であるのならば,人の一生などかげろうの一生のごときものである.だから,だからこそ,いつ死んでもいいような,いつ死んでも悔いを残さないような,そんな生き方をしなければいけないと俺は思う.
間違ってはいけない.悔いを残さない,後悔をしないという事とやり残した事があるという事は違うぞ.
例えば,俺が35才で死ぬとしよう.その時の俺は,俺のやりたい事の全てをやってしまっていたかというとそんな事はありえない.それこそ,まだ35年しか生きていないのだから,やりたい事は山ほどあるし(特に俺の場合は),やり残した事もたくさんある.でも,だからといって,それだから,35才で死ぬ事を後悔する事にはならない.後悔とは,後ろを振り返り,今までの生き方を悔いる事である.今までの自分の選択を,判断を悔いる事である.これから先の人生を悔いる事など出来ないのだから,だから,35で死ぬときに,それまでの自分の人生に満足できるのならば,どれほど山のようにやりたい事が残っていても後悔はしないはずである.
これから先の人生を憂いて後悔しているというのは,今までの自分の人生に後悔している事の言い逃れ,ごまかしでしかない.今の俺ならはっきり言える.
今までの人生に悔いはない.それこそ,いつ死が訪れてもそれは笑って受け入れられると.
人生は短い.明日の為に,今という時間の中で自分の全力を出しきらないで取っておこうなどというせこい考え方,生き方なんかする必要はない.どうせいつかは,そして必ず死ぬのである.ならば,自分の満足する,そして,納得のいく,後悔しない充実した人生を送るべきである.いつ死という終わりが訪れるかわからない.だから,終わりがわからないからこそ,いつ終わりが訪れてもいいように,悔いを残さないように毎日を精一杯,全力で生きていかなければいけないのではないだろうか?
80年生きたから幸せなのではない.35年しか生きれなかったから不幸せなのではない.大切なのはその中味,その生き方である.結局,人間の価値はどう生きたかで決まるのである.
後悔のない人生を送れるように,『今』を大切に生きなさい.
《進化の暦〜基礎データ資料〜》
宇宙誕生 | 200億年前 | 1月 1日 0:00 | |
太陽系誕生 | 50億年前 | 10月 1日 18:00 | |
地球誕生 | 45億年前 | 10月10日 21:00 | |
先カンブリア紀 | 35億年前 | 10月29日 3:00 | |
旧 生 古 代 |
カンブリア紀 | 5億7000万年前 | 12月20日 14:20 |
オルドビス紀 | 5億年前 | 12月22日 21:00 | |
シルル紀 | 4億4000万年前 | 12月23日 23:17 | |
新 生 古 代 |
デボン紀 | 4億1000万年前 | 12月24日 12:25 |
石炭紀 | 3億6000万年前 | 12月25日 10:19 | |
ペルム紀(二畳紀) | 2億8500万年前 | 12月26日 19:10 | |
中生代 | トリアス紀(三畳紀) | 2億4000万年前 | 12月27日 14:53 |
ジュラ紀 | 2億1000万年前 | 12月28日 4:01 | |
白亜紀 | 1億4000万年前 | 12月29日 10:40 | |
新世代 | 第三紀 | 6500万年前 | 12月30日 19:32 |
第四紀=人類出現= | 170万年前 | 12月31日 23:15 | |
人類発展 | 1万年前 | 12月31日 23:59:44 |
* 1分=60秒 1時間=60分=3600秒 1日=24時間=1440分=86400秒 1年=365日=8760時間=525600分=31536000秒 200億年:1年=31536000秒:1秒 ∴ 1年=0.0015768秒 ∴ 1億年=157680秒=2528分=43.8時間=1.825日 |
Printed in Tounn.1992.
Written by Y.O^kouchi.1992. Copyright 1987,1992 MAT Inc. MAT is Mathematics Assist Team Corporation. |