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問 題 1

問題文

 以下の各設問に答えよ。ただし問題中の数はすべて負でないものとし,「負でない」という言葉をすべて省略する。したがって,例えば「整数」と書いてあれば「負でない整数」を意味するものと考えること。また解答中においても,「負でない」という言葉を省略してよい。

(1)  5の倍数の下一桁(一の位)を調べると,表Tのように,0と5しか現れない。一方,3の倍数の下一桁を調べると,表Uのように,一桁の整数(0,1,2,・・・,9)がすべて表れる。この表Uの例のように,一桁の整数でその倍数の下一桁に0,1,2,…,9のすべてが現れるものを全部答えよ。
 〔※この設問(1)のみ,計算や説明等を書かなくてもよい。〕

 次に正の整数pの倍数の下二桁に,00,01,02,…,99のすべてが現れるかどうかを調べよう。(ただし,00と0,01と1などを同一視する。)そのために,
   a=np  (nは正の整数)
と定める。例えば,p=9であるとき,
   a1=9,a2=18,a3=27,a4=36,…である。

(2)  pがまたはの倍数のとき,aの下二桁には,00,01,02,・・・,99のすべては現れない。空欄に当てはまる2数とその理由を述べよ。(ただし,空欄に当てはまる数は100,200など無数にあるので,最も本質的と思われる2つを答えること。また,理由は厳密な証明でなくてもよい。)

(3)  pが(2)の2数のいずれの倍数でもないときは,aの下二桁に00,01,02,・・・,99のすべてが現れるのではないかと期待できる。k<lを満たす正の整数k,lについてaとaの下二桁が等しいとき,
   a-a=100m  (mは正の整数)
と表わせることを用い,a1,a2,a3,…,a100の中に下二桁が等しいものがあると仮定すると矛盾が生じることを示すことにより,この期待が正しいことを証明せよ。

(4)  99以下の正の整数で,その倍数の下二桁に00,01,02,…,99のすべてが現れるものはいくつあるか。
 〔※答えだけでなく,簡単でよいから計算も示すこと。〕

着眼点

 (1)で,手を使って調べているうちに,2の倍数,5の倍数に注目すればよいと気づくはず。
 (3)は,式をどのように利用すればよいか悩んだ人も多いと思うが,pが満たす条件(2でも5でも割り切れない)を使おうという姿勢で,何とか
  l−k=100・m/p≧100・1
にたどりついてほしいところ。
 なお,「n進法」を教わっている人は少ないかもしれませんが,例えば6進法で数を表わした場合,2でも3でも割り切れない数の倍数の下一桁には,0,1,2,3,4,5のすべてが,下二桁には00,01,02,…,05,10,11,…,15,20,21,…,55のすべてが現れます。一般には,n進法でnと互いに素な数の倍数について,同様のことがいえます。

解答例

(1) 1,3,7,9
(2) 2,5
理由:2の倍数は偶数であり,奇数が現れないから。また,5の倍数の下一桁には0と5しか現れないから。
(3) pは2,5のいずれでも割り切れない正の整数とする。
 a1,a2,a3,…,a100の中に下二桁が等しいものがあると仮定すると,1≦k<l≦100をみたすある正の整数k,lについて
   a−a=100m  (mは正の整数)
 すなわち
   lp−kp=100m
 p≠0なので両辺をpで割ると
   l−k=100m/p
 左辺l−kは正の整数だから,右辺も正の整数。pは2,5のいずれでも割り切れないので,pと100の最大公約数は1だから,右辺が正の整数となるのはm/pが正の整数であるときに限る。よって
   l−k=100・m/p≧100・1
 ところが 1≦k<l≦100 であったから l−k≦100−1=99 となり矛盾。
 したがってa1,a2,a3,…,a100の100個の数の下二桁はすべて異なるので,00,01,02,…,99のすべてが現れる。
(4)  99以下の正の整数のうち
   2の倍数は49個
   5の倍数は19個
   10の倍数は9個
 よって99以下の正の整数のうち2でも5でも割り切れない数の個数は
   99−(49+19−9)=40個  ・・・(答)

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