問題文 |
f(x)はすべての実数で定義された関数で,任意の実数x,yに対して,
を満たしている。
このとき,次の各問に答えよ。
(1) | f(0)の値を求めよ。 |
(2) | x>0のとき,f(-x)<f(0)<f(x)を示せ。 |
(3) | 任意の実数xに対して,f(x)>0を示せ。 |
(4) | x<yのとき,f(x)<f(y)を示せ。 |
着眼点 |
解答例 |
(1) |
@にx=y=0を代入して, f(0)≧{f(0)}2 よって 0≦f(0)≦1 Aにx=0を代入して,f(0)≧1 ゆえに f(0)=1 (答)f(0)=1 |
(2) |
x>0のとき,Aより f(x)≧x+1>1=f(0) また,@より, 1=f(0)=f(x+(−x))≧f(x)f(−x) f(x)>1であったから f(−x)≦1/f(x)<1=f(0) ゆえに f(-x)<f(0)<f(x) (証明終) |
(3) |
@より, f(x)=f(x/2+x/2)≧{f(x/2)}2≧0 なので,f(x)≠0を示せばよい。 背理法で証明する。 f(x0)=0なる実数x0が存在すると仮定すると,f(x0)≧{f(x0/2)}2より,f(x0/2)=0 同様にして, f(x0/2)≧{f(x0/4)}2より,f(x0/4)=0 これを繰り返していけば, f(x0/2n)=0 ……B が任意の自然数nに対して成り立つことがわかる。 一方,Aから, f(x0/2n)≧x0/2n+1 であるから,(2n>|x0|となるような)十分大きい自然数nに対しては, f(x0/2n)>0 これは,Bに矛盾する。したがって,任意の実数xに対して, f(x)>0 が成り立つ。 (証明終) |
(4) |
x<yのとき,1<f(y−x)であるから,辺々にf(x)>0をかけて, f(x)<f(y−x)f(x)≦f(y−x+x)=f(y) ゆえに,f(x)<f(y) (証明終) |
<(5)と(6)の解答例> | |
(5) |
h>0のとき f(x+h)≧f(x)f(h)≧f(x)(h+1) (∵(3)) =hf(x)+f(x) したがって, また,f(x)=f(x+h−h) ≧f(x+h)f(−h) ≧f(x+h)(−h+1) (∵(3)) =−hf(x+h)+f(x+h) したがって, ゆえに, (証明終) |
(6) |
(ア)(5)のxをx−hに置き換えることにより, したがって,fが連続であれば,(5)とはさみうちの原理から, がわかる。すなわち,fは微分可能で, f'(x)=f(x) が成り立つ。 (証明終) (イ) (証明終) (ウ)(イ)より,log f(x)=x+C(Cは積分定数) x=0を代入すると,log f(0)=C.よってC=0となり, log f(x)=x ∴f(x)=ex (証明終) |