3次元ピタゴラス数
友円数と同じようにピタゴラス数を代数幾何的に分析する手法は古くより扱われてきた。
a2+b2=c2 の整数解は単位円 x2+y2=1上の有理数点を求めればよいことは上述から明らかである。
そこで、単位円をベクトル方程式として表わし、この有理点を求めよう。
円のベクトル方程式に対して、円周上の1点をとすると、点Aを通る直線の方程式は、で与えられる。円の方程式に代入して、
平方して整理すると、
t=0のとき、点Aであるから、
となる。
以上より、交点の位置ベクトルは、となる。………(*)
ここで、とおくと、
よって、3辺の長さとして、2m,m2−1,m2+1を考えればよい。
同様に、ピタゴラス数の拡張として、a2+b2+c2=d2 を満たす自然数解(この自然数解を元新川高校の教諭、中村 均先生は、三次元ピタゴラス数と命名した)を調べてみよう。
方程式 x2+y2+z2=1 の有理数解に対応するわけだから、を球面の方程式として考えれば、(*)が得られる。よって、とすると、
であらから、4数の組(2m,2n,m2+n2−1,m2+n2+1)が3次元ピタゴラス数である。
さらに一般化して、n次元ベクトル空間において、とノルムを定義すると、として(*)は成立する。
とおけば、
を考えれば、確かに
が成立することが分かる。これからn次元ピタゴラス数が求められたことになる。
例えば、4次元ピタゴラス数は、s1=1,s2=2,s3=3とおくと、
22+42+62+132=152
となることから、(2,4,6,13,15)がその1つである。