友円数の一意性についての補足

 友円数は、弦の円周角を考えることにより補角の関係から、60°と120°の友円数のようにpairで現れることを説明した。では、このpairは一意的に確定するのであろうか。

 例えば、友円数 (a,b,c)=(7,5,3),(7,5,8) は弦c=7に対して決まるが、弦c=7の友円数は他にはないかということである。レポートの前半では、三角形を円に内接するように張合わせた場合、2通りの張合わせがあることを示している(その内の一つが等脚台形になる場合であるが)。この時点で一意性は崩れてはいるが、長さの関係としては、弦c=7に対して、(7,5,3)と(7,5,8)であるからその意味ではまだ一意的である。ただ、円周角により作られる無数の三角形で、辺の長さが整数であるものが存在する可能性もあるのである。

 このことをちょっと調べてみよう。

 120°に対する友円数は、楕円 x2+xy+y2=1の有理点に対応できることを前述した。

 楕円上の1点を通る直線y=tx-1と楕円の交点を求めることにより、その有理点は、
   
と表わされる。これから友円数の組は、(a1b1c1)=(2t+1,t2−1,t2+t+1)となる。

 同様に、60°に対する友円数を求める。楕円x2xyy2=1と直線ysx−1との交点は、
   
であるから、友円数の組は、(a2b2c2)=(2s−1,s2−1,s2s+1)である。

 ここで、c1c2のとすると、t2+t+1=s2s+1

  s2t2st=0 ,(s+t)(st−1)=0
  辺>0より、s>1,t>1。よって、s+t>0
   ∴ st−1=0 st+1 となる。

 これを点Bに代入すると、
   
が得られる。

 よって、60°と120°の友円数のpairは、x座標が等しい2つの曲線上の有理点で与えられ、
  (点Aのx座標)+(点Aのy座標)

 =
 =(点Bのy座標)
なる面白い関係が得られる。すなわち、これを2次曲線の性質とみれば、直線ytx−1と楕円x2xyy2=1の交点Aと、直線y=(t+1)x−1と楕円x2xyy2=1の交点Bのx座標は一致し、右図において、点Aから、y軸に下ろした垂線の足をCとすると、
  AC=AB
となるということである。