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Chap.6 直線の共役反転変換

 複素数平面上の原点を通る直線は、z=te (t∈R) と表される。
 したがって、
   
による像もまた原点を通る直線である。

 次に、原点を通らない直線lの像を求めてみよう。
l 上の点P(z)は、l に関して原点Oと対称な点をA(α)とすると、
    |z-α|=|z|
を満たす(線分OAの垂直二等分線が l である)。
w= のとき、z=より、
    
    ∴ |1-αw|=1
     
     
  ∴ wは点 を中心とする原点を通る円周上の点である。

 以上より次の結論を得る。

f:z →  なる共役反転変換により、
○原点を通る直線は実軸に対称な直線に移される。
○原点を通らない直線は、原点に関して直線と対称な点をαとすると、f(α)を中心とする原点を通る円に移される。

 リーマン球面における無限遠点の定義より、原点Oの反転は∞であり、∞の反転は原点である。これから原点を通らない直線上の無限遠点(二点)は原点に変換される。また、原点からの距離が最小である直線上の点(原点から直線に下ろした垂線の足H)は、最大距離点に移される。すなわち点OAの中点 の像を とすると、OH´は像である円の直径を表すことになる。

ex) 複素数zに対して、 とおく。
複素数平面上で、複素数zを表す点が虚軸上を動くとき、複素数wを表す点はどんな図形を描くか。

(長崎総合科学大)

解)  より、直線x=-2に対して、原点との対称点A(-4)の反転を考えると、次のようになる。

 

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