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〔2〕順序対としての複素数

 現在専門書等で解説されている複素数の厳密な理論は以下のような、順序対による定義から始ま るものが主流となっている。

実数a、bの順序対(a、b)を考える。これを複素数と呼びその相等、和、積を次のように定義する。
(1)(a、b)=(c、d)のときa=cかつb=d
(2)(a、b)(c、d)=(a+c、b+d)
(3)(a、b)(c、d)=(ac−bd、ad+bc)
 (2)、(3)での左辺のは新しく定義する複素数の和、積を表わす記号という意味であり、右辺 は既に知られている実数の世界での四則であり、今これらを区別して表しておこうとしているので ある。

 (a、b)(0、0)=(0、0)(a、b)=(a+0、b+0)=(a、b)であるからに関して“零”の役自を果たすのが(0、0)である。

 任意の(a、b)に対して
   (a、b)(−a、−b)=(0、0)
となるから、に関して(a、b)の逆元が(−a、−b)である。

 そこで(a、b)と(c、d)の減法を(a、b)と(−c、−d)との和として次のように定義する。

(4)(a、b)(c、d)=(a、b)(−c、−d)=(a−c、b−d)
 次に乗法について考えてみよう。
   (0、0)(a、b)=(a、b)(0、0)=(0、0)
   (1、0)(a、b)=(a、b)(1、0)=(a、b)

 このことから乗法に関して単位元となるのは(1、0)である。任意の(a、b)に対して((a、b)≠(0、0)とする)
    (a、b)(a/(a2+b2)、−b/(a2+b2))=(1、0)
となるから乗法に関して(a、b)の逆元は
   (a/(a2+b2)、−b/(a2+b2))
である。

 ここで(c、d)の逆元(c/(a2+b2)、−d/(a2+b2))を用いて、(a、b)と(c、d)の除法について次のように定義する。

(5)(a、b)(c、d)=(a、b)(c/(a2+b2)、−d/(a2+b2))
 以上の定義に基づいて次の計算をしてみよう。

   (a、0)(b、0)=(a+b、0)
   (a、0)(b、0)=(a−b、0)
   (a、0)(b、0)=(ab、0)
   (a、0)(b、0)=(a/b、0) (b≠0)

となり(a、0)とか(b、0)の形の複素数は四則計算に関しては実数のaやbと同じ働きをしている。

 つまり複素数(a、0)と実数aとを同一視することが可能であり、(a、0)や(b、0)については、 上記は実数の計算における加減乗除と同−視できることも判る。今後は(a、o)を単にaと書いてもよい事になる訳である。つまり実数ば新しく定義された複素数の中の特別な場合として位置づけられるのである。

 (a、b)2=(a、b)(a、b)と定義しよう。

 このとき(0、1)2=(0、l)(0、1)=(−1、0)となり、これは実数の−1を表している。そこで(0、1)をiで表わすことにするとi2=−1となる。任意の(a、b)については(a、b)=(a、0)(0、b)が成り立ち、更に(b、0)(0、1)=(0、b)となるので(a、b)=(a、0)(0、b)=(a、0){(b、0)(0、1)=a+b・iのように表わすことが可能となる。

 つまり複素数の演算として走義されたとでa+b・iの+と・とを表していることになる。

 更に考察を進めてゆくとa+b・iと書いた+や・は、笑数の加法や乗津の+、・と同一視してもよ いことが示されるのである。

 以上のような理論展開が順序対による複素数の定義である。抽象的代数学の手法に習熟した学習 者でなければ、なかなか理解するには難しい内容といえよう。

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