面積と積分

  第1部 直線図形の面積

1.面積とは何か

質問1 面積とは何でしょうか。小学校の教科書では「広さのことを面積といいます」と面積を説明しています。しかしこの説明には少しおかしなところがあります。どこがおかしいと思いますか。



 面積とは、さしあたり直線あるいは曲線によって囲まれた平面領域Aのなんらかの大きさである。この大きさM(A)のもつ基本的な性質として、つぎのことがあげられる。

T AとBが合同な図形ならば M(A)=M(B)

U AがBに含まれるならば M(A)≦M(B)

 さらに分解合同における保存とよばれる、次の性質があります。

問題 つぎの2つの図形の面積はどちらが大きいと思いますか。比較して下さい。



V(分解合同)A=A+A ならば M(A)=M(A)+M(A

 直線図形の場合、以上の3つの性質だけで任意の図形の面積の比較が、たちあわせと呼ばれる有限回の操作によって、可能であることが証明される。

次の2つの直線図形の面積を比較することを考えてみる。

 三角形を長方形にたちあわせると

それぞれの長方形の面積を比べるためには横の長さをそろえなければなりません。

問題 次のような2つの長方形の面積をたちあわせによって比較するために、横の長さを同じにするためにはどうすればよいでしょうか。

      ヒント  ななめに切るのがコツ


 このようにすべての多角形は与えられた一辺をもつある長方形と分解合同である。こうして直線図形の面積はさきの性質TUVによって、有限回の操作によって比較される量なのである。