それは何よりも実践の乏しさにあります。現任校での実践はほとんどなく、前任校での実践によるものが大部分であり、現状にあったものにはなっていません。
次期指導要領では、中学校での幾何の一部(立体の切断、重心、接弦定理等)が削除、あるいは高校へ移されると聞いています。一番恐れていることは冒頭でも述べましたが益々空間的造形感覚が乏しく、実体験の少ない生徒が増加するのではないかということです。幾何が論証に偏重してまうのではという不安もあります。
私はよく空間座標の導入時に次のような問題を使ってきました。
次の2点を結び、この直線を対角線とする直方体を図示せよ。確かに難しいもので(エッシャー風の立体を描く生徒もいたりしますが、それはそれで授業になります)が、最近では、全く描けない生徒が多くなっています。他の分野では優秀な生徒でも、立体となると4面体ですらあやしいのです。
A(3,4,1),B(1,6,8)
今、幾何が中・高で一番問題ではないかと思っています。次期の指導要領でもその全体像が明確になっていないと思うのは私だけでしょうか?私は初等幾何を高校で学習した最後の世代です。それをもうー度とは思いませんが、投影図などを含めた立体図形の指導がもう少し重視されるべきだと思います。