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第5章 Mathematicaで複素数

複素関数の問題を考えてみよう。特に(1)の問題が複素数関数の初等関数に関する基礎的な問題で興味深い。

北海道大学98年度

4.複素数平面において、複素数 1,1+2i,2i,z,ωを表す点を、それぞれA,B,C,P,Qとする。この時、次の問いに答えよ。
(1)点Pが線分AB上をAからBまで動くとき、複素数z2を表す点は、複素数平面上で、どのような図形をえがくか、式で表し図示せよ。
(2)△AQCが点Qを直角の頂点とする直角二等辺三角形になるとき、複素数ωを求めよ。

解答(1)
 点Pが点AからBまで線分ABを動くとき、z=1+ti (0≦t≦2)とおくとz2=1-t2+2ti
 z=x+yi(x,yは実数)と置くとx-1-t2,y=2tとパラメ−タ−表示できてtを消去すると、
 x=1-y2/4(1≦t≦2)より、0≦y≦4となる。

Mathematicaでプログラムすると複素関数f(z)=z2によって複素平面上の点が、どのような、もう一つの複素平面に写るのかを調べる問題である。


Module[{sy,sy2},

sy=Table[1+y I,{y,0,2,0.1}];

sy2=Map[{Re[#^2],Im[#^2]}&,sy];

Show[Graphics[{Table[Line[sy2],

{y,-3,3,0.5}]}],

Axes->True,AspectRatio->1]]


上の問題を一般的に拡張しみると複素関数f(z)=z2の性質が良く理解できる。

Module[{sx,sx2,sy,sy2},

sx=Table[x+y I,{x,-3,3,0.1}];

sy=Table[x+y I,{y,-3,3,0.1}];

sx2=Map[{Re[#^2],Im[#^2]}&,sx];

sy2=Map[{Re[#^2],Im[#^2]}&,sy];

Show[Graphics[{Table[Line[sx2],{y,-3,3,0.5}],

Table[Line[sy2],{x,-3,3,0.5}]}],

Axes->True,AspectRatio->1]]

更に、同じ複素数関数に関する北大の理系問題も、面白い。大学入試問題から複素関数論への橋渡しのできる教材である。

北海道大学1998年度

が0以上2以下の実数であるような複素数z(z≠0)を表す複素平面上の点の集合を、式で表し、図示せよ。

解答
単にこの問題を解法するよりも、複素関数とは、どんな複素関数を表しているのだろうか?という事にに興味がもたれる。Mathematicaを使えば、複素数関数を幾何学的に経験することができる。今回は、「ExploringMathematicswithMathematica」(T・WグレイJ・グリン著)トッパンより「第19章複素写像あるいは錯綜したもの」より「ComplexMapPlot」というパッケ−ジをロ−ドして複素関数の幾何学的変化を見てみよう。


ComplexMapPlot[z/2+1/z,z,

RectangularGrid[{{-1,1},{-1,1}}]]

ComplexMapPlot で関数を定義して、RectangularGridで直交座標での変換を見ることができる。

ComplexMapPlot[z/2+1/z,z,

PolarGrid[{0,0},{0.1,5}]]


PolarGrid では、極座標での変換をみることができる。

いずれにしても、複素関数に関する問題も多く出題されておりこれらの、幾何学的な変化を見ることができるのは、とても楽しみな事である。

複素関数において、実軸上に中心があり、円周が点(-1,0)を通過する円の中心を実軸に沿って移動していくと、複素関数 で変換された図形はどんな形になるのであろうか?


Do[ComplexMapPlot[z/2+1/z,z,{Circle[{0.3,n},0.3+1]},

PlotRange->{{-2,3.5},{-2,2}}],{n,-0.3,0.3,0.05}]


右図の様に、飛行機の翼のような形に変換される。
この円の動きをアニメ−ションで観察してみよう。

更に、円の中心のX成分と半径を固定して虚軸に沿って円を移動していくと、複素関数で変換された図形はどんな形になるのであろうか?


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