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2_5 波の分解

 さあ、いよいよ本題の波の分解に取りかかります。シミュレーションプログラムをもとに、単純な波の分解をしてみましょう。

 次のシミュレーションプログラムをみてください。いっぱいグラフが並んでいますね。左上の【W0】が分解したい問題の波です。そして、その下の【W1】が自分で合成していく波です。【W1】は右に並んでいる9つの波を合成して作ります。定数波【C0】とsin波【C1】〜【C4】、sin波【S1】〜【S4】を組み合わせて、最終的に問題の波【W0】を作り上げてみましょう。それぞれの波のスピンボタンを操作すれば、振幅が変わります。なお、それぞれの波は全て1周期分Tでそろえてあります。

 さっそく始めていきましょう。先ほどまで調べてきたa0からan,bnの求め方をもとに、順に係数を決定していきましょう。

 波【W0】のところにあるlebelボタンによって、合成されている波の最大数を決定できるようになっています。とりあえずlebel=1、すなわち定数波【C0】と基本周期の中に波が1個のsin波【C1】、cos波【S1】の3つの波から合成されている波を分解してみましょう。次のグラフが分解したい問題の波とします。

(1) a0を決定する

 まずは係数a0を決定していきましょう。先ほどわかったように、a0は「複雑な波f(t)の1周期分の面積を求めて、周期Tで割る」ことによって求まりました。式でいうと、

 さて、ここで波f(t)の1周期分の面積はどうやって求めればよいのでしょう。ここで登場するのが「積分」の考え方です。縦に短冊に切り取り、できた長方形の面積を合計すると、だいたいの面積がでてきますね。こうして求めた面積を基本周期Tで割ると、係数a0が求まります。

(2) anを決定する

 次に係数anを決定していきましょう。anを求めるのは少し複雑で、「複雑な波f(t)に同じ周波数の波をかけ、その1周期分の面積を周期Tで割り2倍する」ことによって求まりました。式でいうと、

 それではa1を求めましょう。1周期Tの間に波が1つのcos波 y=cosωt をかけ合わせます。そして、先ほどと同様にしてその間の面積を出し、Tで割ってみましょう。波【W2】のところにでてくるS/Tの数値がその値になります。その値の2倍が求めるa1の値です。

(3) bnを決定する

 同様にして係数bnを決定しましょう。bnを求める式は、

 b1を求めるために、1周期Tの間に波が1つのsin波 y=sinωt をかけ合わせます。そして、先ほどと同様にしてその間の面積を出し、Tで割ってみましょう。その値の2倍が求めるb1の値です。

 (1)〜(3)をまとめると、a0=8,a1=6,b1=3 となります。式でいうと、

 遂に波の分解ができました!

 分解した波を合成すると、本当に問題の波になるかどうか試してみましょう。どうです?同じになりましたね。

 使用する波の数をlebelボタンで変えたり、波【W0】のRESETボタンを押すことによって問題の波が変わるので、いろいろと試してみましょう。波の形がどんどん変化して、問題の波に一致したときとても感動しますよ。

シミュレーションプログラムのダウンロード
実行プログラム「Fourie.exe」(約72KB)
カスタムコントロール「Spin32.ocx」(約52KB)
⇒「Spin32.ocx」はWindows\Systemフォルダに置いてください

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