先生の感想
先生の感想
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今回の実践は3年生の2クラスで行った。期末試験も終わり、生徒もあまり気乗りのしない時期で、なおかつ、年間のカリキュラムにはあまり影響しない時期を選んだ。使用した言語はDOS-BASICである(バージョンは?何であったろうか)。本当はQuickBasicを用いる予定でテキストは作ったのであるが、版権の関係で全員が使用できる環境になかった。新課程ではBASIC(C,PASCALでも可)を指定していることもあるが、私自身が最低限、”構造化”できないプログラミング言語は使用したくなかった。
予定は8回であったが、時間数の関係とどうしても評価試験を入れたかったので予定を変更した。第5回までは予定通り行い、残り3回分の演習問題をかいつまんで1回に凝縮した。その分、評価問題は極めて簡単なものとなった。(評価問題参照)
それはさておき全体的な感想としてまず挙げられるのは、考えた以上に生徒は苦しんでいたということである。なかなか自分の思うようにコンピュータが答えを導き出してくれない。例題を用いて少しアレンジすればよいだけなのであるが、その”少し”が生徒には大変であったようである。普段の受け身的な授業よりは、かなり"頭脳"を使っていたのではないであろうか。しかし、コンピュータに対する抵抗感も薄れ、慣れが出だしたころ、要領を少しずつ会得していきだした。さすがに頭の柔軟性は若い分だけあるようである。
今回指導上有功であったと思われるのは、自分のプログラムがあっているかどうかをOUTPUT出力例で示した点である。例えば、自然数nを入力させて計算結果を出力させる問題などで、nに指定した値を代入させて正しい出力結果を示しておくわけである。生徒は正解の数値が出てきたときは、とても感動していたようである。
各授業ごとの感想は次の通りである。
【第1回】
- WINDOWS95上でDOS-BASICを用いているため、相性が悪い点が見られた。日本語入力FEPを用いたときに、使用したあとFEPを切り替えないとハングアップしてしまうことがあった。
- 数式の演算をするとき、乗法の記号"*"を忘れる生徒が多かった。例えば、x*yをxyとついうっかり記述してしまう。
- 括弧を用いないため、演算の順序を間違ってしまいがちであった。
を3.14*2-4/4*25と記述してしまう生徒が多かった。
【第2回】
- プログラムはあくまで手段であることを理解してもらいたかった。基本的な公式、例えば球の体積、扇形の面積などを忘れてしまっている(またはコンピュータのプログラムということでできるものもできなくなってしまっている?)生徒が多かった。
- 一度定義された行は"NEW"コマンドを実行しない限り、依然として生きていることを理解させずらかった。
- 逆に"NEW"を実行したにも関わらず、以前に定義した定数、例えばPI=3.14などの値がまだ生きていると勘違いする生徒も多かった。
【第3回】
- 自然数の1から10までの平方の和をやったあとに、代入されたnの階乗を求めさせる問題は生徒の思考力の柔軟性を育てる上で大変よい問題であった。平方の和の場合、初期値は0にしておかなければならない。しかし、階乗すなわち前の値に次の値をかけていくときには初期値は1でなくてはならない。初期値の値がいつも0であると思っているため、何度プログラムを実行させても表示される結果が0になるものばかりであった。答えをすぐに示さず、時間をかけて考えさせたのも意義があった。その分、種明かしをしたときの生徒の反応は、驚きと感動そのものであった。やはり、実践の中からこそ良問は生まれるのであろう。
- 今日は最初の例題から時間がかかり、全てを消化するには至らなかった。
【第4回】
- 最大値を求めるのに2つのLISTを示したが、生徒には最大値を最初から明示させてプログラムしたほうが理解しやすいようであった。
- 文字の入った方程式の解き方は生徒には難しいようであった。しかし、この問題は文字方程式の重要性や場合分けの大切さが分かる良問であろう。また、普段からよく言うことであるが、1/1,0/1,1/0,0/0の4つの場合の値をよく理解することが大事であろう。
【第5回】
- 前回の残りの「DO〜loop」コマンドを最初にやったため、時間的に苦しかった。
- 「DO」文や「IF」文を用いるときはやはり、構造化プログラミングができない言語は大変である。回答はQuickBasicを年頭において作ったため、これをDos-Basicに置き換えるときに案外大変(複雑になる?)であった。ここの所は、教科書等においても欠点にならざるを得ないといえる。
- 最大値を求める方法を忘れている生徒が多かった。
【第6回】
- 今日は時間数の関係で、演習問題をまとめて板書で行った。時間的に余裕がなかったのでかなりの部分を省略して行った。
- シグマの部分はわかりやすかったようである。また、漸化式の意味を理解する上では「sum=sum+・・・」は非常に役立つようである。
- 素数を求めるところは「振るい落とし」を用いた。原理は分かるが、なかなかプログラミングまでは難しいようである。