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2_3 「数学のいずみ」の主な内容

 興味を持つ分野や内容は人によって差がある。数学の内容を主体としたものに興味を覚える人もいれば,実践報告に関心を持つ人もいる。さらには,コンピュ−タを主体とした題材に興味を持つ人もいれば,生徒の素直な意見を大事にする人もいる。そうした多様な要求に応えていくためには,より多くの蓄積が必要であり,また他へのリンクが必要であろう。とりあえずは,現在3つの内容を主体として公開している。それぞれを簡単に説明したい。

  1.  学校の授業や教科書にとらわれない,数学に関する様々な話題を集める「数学トピックス」
  2. ブラックボックスを用いて関数を身近なものにしようとする「関数を身近なものに」,正多角形の基底変換で得られる図をもとにしてベクトル問題を別な観点から捕らえる「正多角形の変身 〜おもしろいデフォルメ〜」(札幌東;大山),2次関数における一般形の各項の係数がグラフを生成する要素としてどう作用しているかを“和関数”という観点から考察した「和関数としての2次関数のグラフ」(札幌新川;中村),放物線の性質を面積から捕らえた「切片形からの2次関数のグラフ−面積からみた放物線の性質−」(札幌藻岩;菅原)など。

    アイヌの人々の持つ数的概念を研究した「アイヌの人々の数体系と四則演算」(札幌丘珠;坪谷),フ−リエの発見した“同じ周期をもつ波はどんなに複雑なものでも単純な波の合成である”という事柄を視覚的に解説する「新フ−リエの冒険 〜Visual編〜」(札幌稲北;早苗)など。

    フラクタル図形をJavaでシミュレ−トする「Javaでものみながらふらくたるたいむ」,よりinteractiveになったVRML2をもちいて基本的な図形の切断面を観察する「Solid Geometry in Cyber Space 2」(札幌稲北;早苗),十進BASIC for Windows95を用いた教材開発「やすい!はやい!うまい! グラフィックス調理法」(札幌新川;中村)など。また,「java実験室」(秋田;畠山)のように道外の個人のペ−ジで数学の題材を扱っているペ−ジにもリンクしているものもある。

  3.  普段の授業における実践記録や,数学教育に対する様々な考えを集める「実践記録・発言・レポ−ト」
  4. 新教育課程のもとでの感想を実践を交えていくつか紹介した「新教育課程の実践から」(北広島;高橋),複素数の積によって描かれるうずまき線を基に極形式の学習へと発展させる「複素数の極形式の導入について」(石狩南;清水),次期学習指導要領で新設予定の「数学史」における意義と観点を考えた「数学史を数学教育に活用する視点」(千歳北陽;熊田),“たちあわせ”を使った面積の出し方や落下運動と結び付けた微分の指導「面積と積分・落下運動と微分」(帯広白樺;氏家)など。

    生徒同士が互いに教育しあう授業形態を授業実践の中から探っていく「エンカウンタ−を利用した授業」(岩見沢東;菅原),誤答例の中からその個所を見つけ出し課題解決能力の向上と論理的思考力を育てる「Find Out 〜課題解決能力の向上と論理的思考力を育てるための試み」(檜山北;吹越)など。

    学習指導案をもとにしたコンピュ−タ使った授業の実践記録「CAI実施への取り組み−数学T:2次関数のグラフの指導−」(札幌厚別;川崎),Visual Basicで作成した軌跡分野における教材の実践例「「軌跡」分野における授業展開の一例 −対象を明確にするために−」(札幌藻岩;菅原),十進BASICを用いた情報教育の実践報告「10進BASICで描くグラフィックス」(札幌稲北;早苗)など。

    様々な話題を集めた数学通信「MAT Information」(稲雲;大河内),新しい学力感と学習カウンセリングについての講演資料「新しい学力感と学習カウンセリング」(稲雲;谷川),数学と教育学の日常的な対話から生まれるもの「Drポアロの挑戦」(札幌新川;中村)など。

    認知科学的な発想を教育に取り入れ現在の教育を考える「社会的分散認知としての学習活動」(旭川凌雲;奥村),実験数学的な試みを考える「Experimental Mathematics On Net」(札幌稲北;早苗)など。

  5.  あるテ−マをしぼっていろいろな角度から検証する「テ−マ別共同研究」
  6. 高校数学の積分の単元における不定積分と定積分の指導法について,有効な指導法を探っていこうというもの。石狩南高校の清水先生が出されたレポ−トをもとに,厚別高校の川崎先生が授業実践をしてみての報告を収録。

    新川高校の中村先生が投げかけられた『x2y2=1・・・@ ,x2y2−6x−8y+16=0・・・Aの交点を通る直線は何か』という問題に対して,実平面上では存在しない直線の問題をいかにして説明していくかを色々な観点から探っていく。メ−リングリスト「mathedu」での議論や虚数解をいかにしてイメ−ジ化していくかが展開されていく。

 「数学のいずみ」に収録されているレポ−トは既に90本以上になった(Ver19,7月末現在)。作業の関係でなかなか収録できないものも多数ある。5年の積み重ねはかなりの重みを帯びてきたといえる。

 数実研の例会では,毎回消化しきれないぐらいのレポ−トが出され,様々な分野の興味ある内容が紹介される。そうした内容を紹介すると同時に,ネット上で公開されている様々な題材にリンクを張っていきたいと考えている。また,逆に他のライブラリ−化を図っているペ−ジに,どんどん紹介してもらうこともよいであろう。対象は数学に興味や関心を持つ人すべての人たちである。

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